在庫管理術
在庫管理×Excel (エクセル)【方法・メリットとデメリット・効率化するツールや成功事例】
エクセルで在庫管理表・グラフを作成
エクセルを使う在庫管理とは、仕入れた商品や原材料をいくつ保管しているのか、いつ仕入れていくつ入庫したのかなどを正確に把握・管理するために在庫管理表を作成し使用する方法です。
エクセルは表計算に非常に長けたツールのため、在庫管理に必要な項目である日付・品番・品目・仕入れ先・原価・数量・納品数・入出庫数・残数・保管場所など必要な項目を全て一覧表にでき、在庫情報の検索が容易にできます。また表計算によって各種在庫の増減や変化を簡単に表示できます。
また、表計算したものをさまざまな形態のグラフ*1に変換できるので、在庫量推移や在庫コスト・仕掛品の流動などの見える化にも役立ちます。
*1:線グラフ・棒グラフ・円グラフ・バブルチャート・ヒストグラム・積み上げグラフなど
エクセルを使った在庫管理のメリット
関数を使って在庫の残数や増減を把握できる
「エクセル=表」というイメージだけを持つ人も多いですが、エクセルにはさまざまな数値やデータを処理できる「関数」があります。
関数を使った簡単な例として「繰越在庫+納品数-出庫数=現状在庫数」といった計算をしたい場合、繰越在庫・納品数・出庫数のデータをセルに入力するだけで算出することができます。
この場合、図のように現状在庫数のセルE2に(=B2+C2-D2)を入力すればOK。和・差・積・商は「+,-,*,/」を使って簡単に算出できます。また、複数のセルを合算するのもSUM関数を使えば可能です。
またやや複雑な関数としては、VLOOKUP関数を使って別のファイルのデータをセルに読み込むことができます。例えば、出庫数のみを扱うエクセルファイルだけを別に作って倉庫のPCから扱えるようにします。
そして倉庫からモノを出庫する際に、出庫数だけをデータ入力してもらうことで自動的に上記イラストにある表のD列(出庫数)が埋まっていきます。
テンプレート化すれば関数を扱えない人もデータ入力するだけでOK
在庫管理表をテンプレート化し、必要な関数をセルに埋め込んでおけば、入出庫や納品数などの手元のデータを入力するだけで、在庫数が算出されます。
簡単なデータ入力だけでOKなので、エクセルの関数を扱えない人でも在庫状況の把握が可能。また関数を埋め込んだセルにはロックをかけられるので、間違って関数を消される心配もありません。
ここ最近ではインターネットで無料の在庫管理表のテンプレートがダウンロードできるようになっており、カスタマイズも可能。会社のPCにエクセルさえインストールされていれば、テンプレートの活用は在庫管理をより便利にしてくれるでしょう。
マクロを使って複雑な操作を自動化。発注書や月次報告も一発で発行可能
在庫管理は会社の製品の流れ、つまり資金の流れに直結する重要な管理項目です。そのため、ちょっとした入力ミスや重複入力によるデータの誤りは会社の経営方針にも影響するかもしれません。
そのためデータが膨大な数になってきたり、煩雑なデータ処理が必要であったりする場合、ヒューマンエラーを減らすためにも「マクロ」の使用が有効です。
「マクロ」とはエクセルに簡単に指令を出せる、簡潔なプログラミングのこと。しかしわざわざプログラミング言語を覚える必要はありません。エクセルに一連の処理内容を覚えさせることをマクロを使用すると言います。
例えば、膨大な数の入出庫データから発注タイミングの閾値を週始め・週半ば・週末の3通り割り出して発注をかけるというルーティンワークがあるならば、その操作をひと通りマクロに記録します。
そうすれば次からは2〜3クリックで発注書の発行まで可能にしてくれます。
また月の資材在庫や製品在庫の流れ、資材の入出庫、製品の出荷・納品を表のデータからグラフ化し、月次報告に用いる場合もマクロの記録が使用できます。
マクロの下層レイヤーとしてエクセルで使用されているプログラミング言語はVBAというものですが、プログラミング言語を処理することなく「マクロの記録」で運用できるので非常に便利です。
ちなみに「マクロの記録」はデフォルトでは設定されておらず、[ファイル]→[その他]→[オプション]を開き、さらに[リボンのユーザー設定]→[メインタブ]を設定し[開発]にチェックを入れると設定できるようになります。
他オフィス系ソフトへの埋め込みがスムーズ
オフィス系のソフトであるエクセルは同じくオフィス系のパワーポイントやワードと互換性があり、データの埋め込みが非常にスムーズでフォントやカラーなどが乱れることもありません。
そのため、パワーポイントを使ったプレゼンや企業紹介、ワードを使った月次報告書や株主総会で用いる報告書にデータを埋め込む場合、エクセルは非常に向いています。
Teamsを利用すれば複数人の同時編集・閲覧が可能
マイクロソフトのTeamsにアップロードすればエクセルなどのオフィス系ソフトを複数人で同時に閲覧・編集できます。必要に応じて在庫の納品・入出庫に関わる人のアカウントをTeamsに招待すれば、同じファイルに在庫の流れをデータ入力していくことが可能です。
エクセルによる在庫管理のデメリット
エクセルを使うにはコストがかかる
そもそもエクセルを使用するには、初期投資が必要です。無料版のエクセルもありますが、スマホアプリのみに対応であったり、Microsoftアカウントを作ればブラウザ上でのみ無料版が使えたりと、制限が多くビジネスには向きません。
また共同編集や閲覧を行うにはMicrosoft Teamsも必要ですが、これにはまずMicrosoftの法人向けアカウントを作る必要があります。さまざまなプランが用意されていますが、最低価格で1ユーザー750円/月*2、PCでエクセルなどの各種オフィスが使えるスタンダードプランでは1,560円/月となっています。
Googleアカウントを法人向けで作る際の価格と比較すると、Googleの最低価格は1ユーザーあたり680円/月、スタンダード価格で1,360円/月となっており、Microsoftの方がやや割高です。ちなみにGoogleアカウントは最低価格のプランでも全てのGoogleアプリ*3が利用できます。
*2:Web、モバイルのみでしか各種オフィス系ソフトを使用できない
*3:グーグルスプレッドシート、ドキュメント、カレンダー、MEET、スライドなど
VLOOKUP関数やリンクを使うとデータが重くなる
入出庫数や資材の使用数をリアルタイムで把握するために、VLOOKUP関数を使って各拠点で必要な情報だけをエクセル入力することもできます。
しかし、VLOOKUP関数やファイルへのリンクが多すぎると元のエクセルデータ自体が重くなり、ファイルを開くのに時間がかかる、最悪な場合、ファイル自体の破損がないとも限りません。
グーグルスプレッドシートに移行しがち
Googleアカウントさえ持っていれば、グーグルスプレッドシートは誰もが使用できます。他にもワードに類似したドキュメント、パワーポイントに似たスライドといったGoogleアプリが使用可能。
ビジネス向けGoogleのワークスペース(旧G-Suite)はセキュリティの高さや、ストレージ容量の大きさ*4に定評があり、Microsoftでわざわざアカウントを作るよりも、個人レベルでも使用頻度の高いGoogleアカウントを企業でも使う傾向にあります。
Googleアプリは全てオンライン上で操作するため、スプレッドシートは複数人と同時編集・閲覧が可能です。シートのオーナー、もしくは編集者がシートのURLを別のアカウントに共有する際に「編集・コメント・閲覧」のいずれかの権限を与えられます。
*4:スタンダードプランで1人あたり2TB
また誰がいつファイルを編集したか・コメントしたか・削除したか・複製したかの編集履歴も確認できます。
さらにエクセルとほぼ同じ関数が使用でき、テンプレートの作成やマクロ記録操作もほとんど同じ。エクセル操作に長けた人であれば、問題なく在庫管理表をグーグルスプレッドシートで作成できるでしょう。
クラウドのストレージ量も大きく、VLOOKUP関数と同じ動作を複数回行ってもファイル容量の重さによる損失の心配もほぼありません。エクセルから使い勝手の良いグーグルスプレッドシートに移行する企業も多いでしょう。
エクセルによる在庫管理の限界
エクセルもグーグルスプレットシートも同様に入力ミスや重複入力といったヒューマンエラーは起こり得ます。オーナーが編集履歴をたどることは可能ですが、ミスを見つけるのには多大な労力が発生します。
そのため、エクセルにせよスプレッドシートにせよ、実際の在庫数を把握するために実地棚卸しや実地検分に時間をかけざるを得ない状況に陥りがちです。
また表計算シートを手入力する在庫管理は扱う品目が膨大になるほど、ファイル数も膨大になり、その処理に費やす時間・労力も増加します。
例えば製品Aの部品Bの在庫について「誰が・どのファイルで・いつ入力するのか」とルールを明確にしていたとしても、新規開発品Xにも部品Bが使われた場合、新たなファイルを作るのか、ファイル内のシート分けで管理するのかと、新しいルールと管理表を作成しなくてはいけません。
同じような状況が繰り返されることで、部品Bについては属人化した管理しか行えない状況が生まれる可能性があります。逆に部品Bに関するさまざまなファイルが整理されておらず、誰も全容を把握していないということも起こり得ます。
●手作業が多く効率化につながらないエクセルを使った在庫管理
エクセルの表を作るところからはじめ、試行錯誤しましたが、もともと 手作業の業務が占める割合が大きいのと、パソコンを使いこなせる人が限られていたのとで、効率化できた部分は微々たるものでした。
入力不要の在庫管理システムとは
在庫情報の記録、分析、共有、という点ではメリットの大きい表計算シートを使った在庫管理。しかしながら従来通り、倉庫まで移動し・在庫を数え・入力するという手間が残るため、在庫管理の効率化につながらないという声があります。
在庫管理をもっと効率化したい、という課題に答える在庫管理システムが「スマートマットクラウド」です。
重量センサーを搭載したスマートマットにモノを載せるだけで在庫数を計測し、自動記録するため、手入力不要。在庫管理にかかる時間を大幅削減できます。
エクセルとツールの併用
エクセルを使った在庫管理表の入力を効率化するために近年、企業での導入が増えているのがバーコードシステムやQRコードシステム、RFIDタグとのとの連携です。
JANコードやITFコードに代表されるバーコードは、太さの異なるバーとスペースの組合せで構成されており、これをハンディターミナルなどの自動認識装置を使って読み取るという仕組み。
バーコードは既存のコードを多く使えるという利点がありますが、読み込み装置であるハンディターミナルが1台20万前後するものもあり、初期費用がかかります。
一方でQRコードは、バーコードの20倍の情報量が記録できる、コード発行が無料でカンタンにできる、スマホやタブレットなどのカメラアプリで読み込めるという点がメリットです。
最後にRFIDタグは内蔵されたメモリにさまざまな情報が記録されていくため、トレーサビリティに優れています。
また在庫量が多くても一括でスキャンできたり、タグが隠れた位置にあったり汚れていたとしても、スキャナからの読み取りが可能。そのため一般的なバーコードよりは効率的な読み取りができます。
一般的には3種類のコード全て、読み取った情報はエクセルや表計算シートと互換性のあるCSVファイル形式で転送します。そのため、データを入力する際の人為的なミスが起こりにくく、労力も削減されるため在庫管理の効率化に繋がるとされています。
ただし、モノにコードやタグを貼り付けたり、スキャナやハンディーターミナルで読み取るという手間が残るのがデメリットです。また重複読み込みなどのヒューマンエラーが発生しないとも限りません。
導入済企業、導入検討中企業・パートナーからのヒアリングに基づいて、在庫管理の業務で導入されているバーコード・RFID・手書きとエクセル・スマートマットクラウドを比較し、まとめました。
バーコード | RFID | 手書きとエクセル | スマートマットクラウド | |
---|---|---|---|---|
業務負担 | ×(毎回スキャン) | ×(毎回スキャン) | ×(目視で紙に手書き・入力の負担大) | ◎(載せるだけ) |
遠隔管理 | ×(現場でスキャン) | ×(現場でスキャン) | ×(読み取り不可) | ◎(リモートで確認OK) |
在庫の管理方法 | 手動でバーコードをスキャン ※別途ハンディターミナル必須 | 手動でバーコードをスキャン ※別途ハンディターミナル必須 | (目視で手書き・入力の負担大) | 自動で数量計測 |
棚卸の作業 | 手動でバーコードをスキャン ※別途ハンディターミナル必須 | 手動でバーコードをスキャン ※別途ハンディターミナル必須 | (目視で手書き・入力の負担大) | 自動で数量計測 |
在庫管理の超効率化を叶えるスマートマットクラウド
現場のあらゆるモノをIoTで見える化し、発注を自動化するDXソリューション「スマートマットクラウド」を使えば、在庫管理の自動化・超効率化が簡単に叶えられます。スマートマットの上に管理したいモノを載せるだけで設置が完了。
あとはマットが自動でモノの在庫を検知、クラウド上でデータを管理し、適切なタイミングで自動発注してくれます。
さまざまな自動発注に対応
お客様の発注先に合わせた文面でメール・FAXの送信が可能です。
在庫圧縮を促進
推移を把握できるグラフで適切な在庫量を判断し、在庫圧縮を促進します。
置く場所を選びません
スマートマットはサイズ展開豊富。ケーブルレスで、冷蔵庫・冷凍庫利用も可能。
API・CSVでのシステム連携実績も多数
自社システムや他社システムと連携を行い、より在庫管理効率UPを実現します。
エクセル入力の手間はナシ!スマートマットクラウドで在庫管理効率化に成功した事例