在庫管理術
実地棚卸|目的と実地棚卸の効率を上げる方法とは
実地棚卸とは
実地棚卸とは、棚卸資産を保有している企業が、ある時点で実際に現品を点検しながら在庫の数を数える手続きのことをいいます。実地棚卸の頻度は四半期に1回、半期に1回など企業によってまちまちですが、年に1回、事業年度末には必ず実施します。
棚卸には実地棚卸と帳簿棚卸があります。通常、帳簿棚卸と実地棚卸の両方をおこないますが、 実地棚卸の結果が優先されます。在庫台帳の数字と実施棚卸の結果の差を在庫差異といい、在庫差異が出た場合は実施棚卸の結果に在庫台帳の数字を合わせる作業が発生します。
実地棚卸の目的
実地棚卸を実施する目的は3つあります。
- 期末在庫を確定し、利益を確定する
- 在庫の状態を確認し、問題があれば管理方法を改善する
- 窃盗や横領などの不正がないかチェックする
目的①:利益確定
企業が納める税金の金額は、利益を元に計算されます。
- 売上金額ー売上原価=売上総利益
- 売上原価=仕入れ金額ー期末在庫
という計算で、利益は計算されます。
決算時期に実地棚卸を行うのは利益確定のためです。税金の計算基礎となるのは利益であるため、在庫は税金(納税額)に大きく関わってきます。
目的②:在庫管理
帳簿棚卸では在庫の状態まで把握できませんが、現物を実際に数える実地棚卸なら在庫状態もあわせて確認ができます。 倉庫で保管している間に、汚れたり破損したりすると在庫の価値は下がります。
品質に変化がある場合は棚卸原票に記載をし、品質に見合った評価をします。 不良在庫や滞留在庫が多い場合は、今後資産価値が下がらないように在庫管理方法を改善します。
目的③:内部統制
実地棚卸には、経理部門や公認会計士が立ち会って、棚卸資産の状況を実際に確認します。また実地棚卸の結果を理論在庫と照らし合わせることで 社内での不正を発見し、発生そのものを抑制する内部統制効果があります。
実地棚卸のやり方
実地棚卸の基本的な手順を紹介します。
▼事前準備
- 棚卸原票や実地棚卸の進捗状況を管理するコントロールシートを作成する
- 実地棚卸マニュアルを作成し、担当者に周知する
▼棚卸当日〜棚卸後
- 2人1組になり、1人が数量を数え1人が棚卸原票に記入する
- 棚卸原票を集計し、帳簿上の在庫と比較する
- 差があれば帳簿の数字を修正する
実地棚卸の注意点
実地棚卸の結果は、会社の利益を確定させるもの。
実地棚卸で正確に在庫を数えるためには、事前に準備して当日もポイントを押さえて作業する必要があります。
実地棚卸の注意点をチェックしておきましょう。
1.物の動きをストップさせる
実地棚卸を行う日は物の動きをストップさせおこなうのが基本です。
そのため実地棚卸は一斉棚卸というやり方で短時間で一気に行うのが普通です。
一斉棚卸:全ての在庫を一度にカウントする。製造業なら生産ラインを止め、小売業なら休業しておこなうことがほとんど。
循環棚卸:部分的に順番に棚卸する。全エリアの作業や営業を止めず実施可能。普段から在庫が高いレベルで管理できている企業向け。
2.外注先や輸送中の在庫もカウントする
棚卸では自社の倉庫だけでなく、外注に出しているものや輸送中のものも忘れずに集計します。
3.材料・仕掛品・半製品もカウントする
棚卸では完成した製品だけでなく材料、仕掛品、半製品も棚卸資産と見なされるため在庫としてカウントします。評価の方法が異なるので、棚卸前には整理して区分しておく必要があります。
面倒な実地棚卸を自動化するIoT
物流をストップして行う実地棚卸は企業にとって負担が大きいもの。
実在庫と帳簿上の在庫の乖離が大きい場合は、実地棚卸の回数を増やすのが良いとわかっていてもなかなか実施に踏み切れないという企業も多いのではないでしょうか。
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自社システムや他社システムと連携を行い、より在庫管理効率UPを実現します。
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