在庫管理術
予備品【修理保全に必要なパーツの欠品と過剰在庫を防ぐ管理方法とは?】
予備品管理の重要性
予備品とは?
予備品とは、製造業工場で稼働している機械や設備の保守や故障に備え、ストックしておく部品のことです。
予備品がひとつでも欠品すると、生産ライン停止に直結するため、保全部で重点的に在庫管理をする必要があります。しかし予備品は直接材ではないため、管理システムへの投資が後回しとなり、手書きの台帳やエクセルといったアナログな方法で管理する企業が多いのが現状です。管理上の人的ミスが発生しやすいため、製造業では予備品は管理の難易度が高い物品となっています。
今回は予備品管理の目的や予備品の種類、予備品管理業務の課題とその解消方法、事例についてまとめました。
予備品管理の目的
予備品管理は、工場内の機械・設備を安定して稼働させるために行います。設備・機械が故障した際に、故障から復旧までにかかる時間すなわちMTTRを最小限にし、機会損失を防止するのが主な目的です。
また定期的な点検で交換する部品については、計画的に発注し、発注コストや保管維持費をできるだけ削減するという目的もあります。
予備品の種類と特徴
予備品の種類
予備品には汎用性が高くJIS規格に基づいて製造され入手しやすい消耗品、機械の保守部品としてメーカーが市販している部品、特注品で納品までに時間がかかる部品があります。入手のしやすさや価格によって、保管数や発注方法、会計処理を変える必要があり、予備品リストの作成と定期的棚卸が必須となります。
- 消耗品・・・チップ・ボルト・スプリング・ワイヤーなど高頻度で消費するもの
- 計画品・・・修理計画に基づいて、発注時期・発注量を決めスポット購入するもの
- 保険品・・・故障に備え保険的に常時持っておくもの
予備品の特徴
予備品の特徴と在庫管理の特色を簡単にまとめました。
- 使用頻度が低い:たまにしか動かないので補充を忘れやすい
- 使用タイミングが予測できない:突然必要になり、必要な時は緊急性が高い
- 消費数が少ない:使用数量が1個〜数個なので、在庫が少なくなっていることに気づかず発注タイミングを逃しやすい
- 点数が多い:管理が漏れることがある
- 工場から離れた倉庫での保管が多い:目が届きにくい
どの特徴をとっても予備品の在庫管理の難しさに結びついていることがわかります。
予備品管理の課題
業務が属人化しやすい
予備品管理は安全在庫や発注量の知識、調達リードタイムの知識が必要なため属人化が発生しやすい業務です。担当者の急な退職や異動が間接的な原因となり、保全品が欠品し、機会損失を招くケースがあります。
ロケーション管理が徹底できない
予備品は少量の在庫が限られたスペースに大量にストックされるため、整理整頓が難しく必要な時に「どこに保管されているかわからない」という事態に陥ることがよくあります。故障対応の場合は、設備や機械の修理や復旧がその分遅れ、製品の生産に影響を及ぼします。
納品に時間がかかる部品がある
予備品には、発注をかけてから製造を開始する部品・パーツが含まれています。欠品させた時の生産ラインが停止する時間が長くなり、数日にわたって生産がストップするケースもあります。
持ち出しや複数拠点で使用される
メンテナンスパーツは、工場内で従業員だけが使用するとは限りません。パーツを持ち出しで使用し、残りが返却されるケース、メンテナンスを担当している委託業者が予備品を持っているケースがあります。
従来の置き場所と違う場所に返却されたり、持ち出し記録をつけずに持ち出している間に補充が行われる等の原因で、予備品が過剰在庫に陥ることがあります。
予備品管理システムの活用
課題を解決する予備品管理の進め方として、予備品管理システムの活用があります。予備品管理システムとは、管理しにくい保守パーツの管理を効率化する機能が備わっています。
予備品管理システムを導入するとロケーション管理が難しいパーツをRFIDで管理し、パーツを探す時間を短縮したり、定期的な機械メンテナンススケジュールを把握し、計画的に発注したりすることができます。保守パーツの欠品・過剰在庫のリスクを軽減します。
●予備品管理システムの機能例
- 予備品台帳機能
- ロケーション管理機能
- 設備管理機能
- 工事管理機能
- 点検管理機能
- 故障履歴機能
- 納期管理機能
- 検収管理機能
重量センサを活用した予備品管理ツール「スマートマットクラウド」
予備品管理には定期的に倉庫にいくつ残っているのか確認し、記録するという棚卸という作業が必要です。棚卸の結果を見て、現在の在庫数から必要な数量を割り出し発注をおこないます。
しかし目視と手作業で点数の多い予備品の在庫を確認するには、作業時間がかかりすぎる、数え間違いや記録ミスが発生する、本当に必要な頻度で棚卸を実施できない、という課題があります。
負荷の大きな棚卸の作業を人の替わりに正確に実施できるのが、重量センサを搭載した予備品管理ツール「スマートマットクラウド」です。
「スマートマットクラウド」は、重量センサを搭載したデバイスが重さで在庫量をリアルタイムで検知。絶対欠品させたくない設備の保守パーツの管理に最適です。
予備品管理を超効率化!「スマートマットクラウド」
IoTで在庫管理を自動化、工程カイゼン・DXを進める
スマートマットクラウドはリアルタイム実在庫の見える化で在庫管理、工程カイゼン・DXを進めるIoT SaaSプロダクトです。IoTで現場のモノの動きを捉え在庫管理を自動化、その上で工程内のモノの流れを分析し問題を見える化します。さらにリアルタイム実在庫データを武器に工程を跨ぐ流れの澱みを特定しDX、現場力の向上に寄与します。
在庫置き場に出向くことなくリアルタイムで管理画面から部品と仕掛品の在庫数を確認できます。在庫確認や補充タイミング把握のため、倉庫や工場内を走り回る必要はもうありません。
スマートマットクラウドは生産工程の進捗状況も可視化。
後工程からひとつ前の工程に、必要な部品を、必要なタイミングで、いくつ必要かを自動で伝えることで、製造業の生産プロセスに潜むさまざまな課題を解消します。
◆特徴
- 遠隔で在庫を一元管理:倉庫や各拠点の在庫を管理画面で一元管理
- 需要に見合った供給を実現:ひとつ前の工程に伝え、過不足なく生産できる
- 生産効率を最大化:リアルタイムかつ自動で伝え、ムダがない
保守パーツ在庫管理改善に成功したスマートマットクラウド導入事例
▼保守パーツの在庫管理・棚卸を自動化(NTT東日本-関信越 長野支店 設備部 長野サービスセンタ)
電話やインターネット故障の際の修理に使うプラグやスリーブといった保守パーツを遠隔の倉庫で保管しています。導入以前は在庫確認や発注に担当者へ大きな負担がかかっていました。スマートマットクラウドの導入で、倉庫への移動が不要となり、在庫点検から発注、システム入力までにかかる時間を月間20時間と大きく削減。在庫数量の自動把握に加え、RPA連携を通じ発注業務を自動化できました。