在庫管理術
食品製造業の効率化・生産性向上【課題・なぜ生産性が低いのか・生産ロスの原因と改善策・成功事例】
なぜ、食品製造業の生産性は低いのか
経済産業省の調査*によると、2020年度の食料品製造業の従業員1人あたりの労働生産性は672万円。
製造業平均(1073万円)の6割にとどまっており、製造業のなかでも、食品製造業の労働生産性は低い部類に位置することがわかっています。
また、日本生産性本部が公表した「労働生産性の国際比較2021」によると、2020年の日本の1時間当たり労働生産性はOECD*加盟38か国中23位、1人当たり労働生産性は同28位となっています。どちらも1970年以降最も低い順位です。
食品製造業の生産性が低い大きな理由として、
- 原料の投入や製品の箱詰めなど、製造ラインにおいて、人手を必要とする工程が多い
- 他の産業と比べ労働装備率*が低く、自動化・省人化が遅れている
この記事では、人手不足、新型コロナウィルス、原材料や物流コストの高騰など多くの課題を抱える食品製造業がいかに効率化して生産性を高めるかを様々な角度からわかりやすく解説。
また、生産性向上のために欠かせない在庫管理DXがもたらす効果やメリット、IoTを使った食品製造業DXの成功事例もご紹介!
*参照:「2021年経済産業省企業活動基本調査(2020年度実績)」
*参照:「労働生産性の国際比較2021|日本生産性本部」
*労働装備率:従業員一人当たりの設備投資額を言い、有形固定資産額を従 業員数で除したもの。 労働装備率が高い場合は、従業員一人当たりに対する有形固定資産の割り当てが大きく、一般的に設備投資がより進んでいると言われる。
*OECD(経済協力開発機構):ヨーロッパ諸国を中心に日・米を含め38ヶ国の先進国が加盟する国際機関。
*食品製造業の現状と課題の詳細については
・食品製造業のDX【食品製造業の現状と課題・DXに欠かせないスマートファクトリー・DX成功事例・在庫管理DXの重要性】の記事を参照してください。
食品製造業における生産ロスの原因
食品製造業の効率化がなかなか進まない理由の一つに、生産ロスがあげられます。
生産ロスとは、製造現場で生じる損失のこと。
食品製造業の現場では、具体的に以下のような原因による生産ロスが発生しています。
人手不足・人材不足
原材料の計測、調理、包装、殺菌・検品…など多数の工程がある食品工場の生産ラインには、それぞれに人員を配置する必要があります。
昨今の人手不足は、食品製造業でも深刻であり、必要な人材が集まらず、製造ペースが上げられないことや、一部の人材に負荷がかかり、それが離職につながることもあります。
人材不足は、最悪の場合、生産ラインを一時停止するというケースを招きかねません。
また、ベテランスタッフからの引き継ぎがスムーズに進まない場合は、品質生産力の低下をも引き起こします。
*人手不足に関する詳細については
・「人手不足【日本の現状・深刻な業界・影響とデメリット・原因・解消法と成功事例】」の記事を参照してください。
作業ミス
多くの工程があるぶん、目視や人の手による作業にはそれだけミスも伴います。
食品を扱っているため、一つのミスでも、品質や安全性にも関わる大きな問題に。
材料調達や在庫管理ミス
需要に応える食品を製造するには、適切な材料調達、調達した材料の在庫管理も大変重要です。
万が一、発注ミスがあった場合は、製造もままなりません。
また、食品製造業で調達した材料には、賞味期限や消費期限があることも多いため、製造日まで適正に管理する必要があります。
連携・コミュニケーション不足
食品製造業では複数の部門や工程に渡って製品・商品が作られていくため、部門間の連携は欠かせません。
連絡ミスや情報が共有されていないことが原因で、生産個数を間違えたり、材料不足という生産に関わるトラブルを招きます。
密にコミュニケーションを図り、あらゆる情報を共有することが生産性向上へつながります。
食品製造業の効率化・生産性向上に必要な改善策
食品製造業の生産性向上とは、食品工場の作業効率を上げ、労働生産性を高めることです。
これを実現するには以下のような取り組みやプロジェクトを推進することが急務と言われています。
新しいことへの積極的な取り組み
食品製造業は、まず旧来の保守的(新しいことに取り組もうとしない)体質を改める必要があります。
また技術は盗むものだという考えを改め、積極的に従業員を教育し、能力拡大し給与を増やして労働の質を高め、全要素生産性*を向上する組織資産を増強することも急務。
*全要素生産性:広い意味での科学の進歩とされ、労働・資本を除く生産性向上の多くの要素を含む。
AIやIoTなど最新のデジタル技術の導入
AIやIoTなど最新のデジタル技術の導入の効果には、生産性の向上や省人化といった大きなメリットがあります。
さらに、過酷で面倒な作業をAIやIoTが行うことにより、社員満足度の向上や品質の安定・需要にあった生産をが可能になり、顧客満足度の向上といった二次的な効果も多数報告されています。
このような状況を踏まえ、農林水産省では、ロボット、AI(人工知能)、IoTなどの先端技術の導入支援や、その技術の橋渡し役となるシステムインテグレーター(SIer)*との接点づくりの促進を図ることにより、食品産業におけるイノベーションを創出し、食品産業の生産性向上を推進しています*。
*参照: 農林水産省「食品製造業等の生産性向上」
*システムインテグレーター(SIer):システムの導入を検討している顧客に対して、「分析」「開発」「運用」等の全ての工程を総合的に請け負うサービスのこと
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