在庫管理術
棚卸減耗損【算出の目的や計算方法・発生原因・対策方法】
この記事では、棚卸減耗損が発生する原因、計算方法、棚卸減耗損や対処方法についてわかりやすく解説していきます。
棚卸減耗損とは
棚卸でかぞえた実在庫の数量が帳簿上の在庫数量より少ない時にする会計処理のことを棚卸減耗損(たなおろしげんもうぞん)といいます。「棚卸ロス」や「品減り(しなべり)」とも呼ばれています。
会計処理の方法は、決算時に実在庫と帳簿在庫の差額を、棚卸減耗損として計上します。
棚卸減耗損を計上する目的は、企業の財務諸表に在庫資産の評価を正確に反映させることにあります。在庫資産の帳簿価値が実際の市場価値や回収可能額を下回る場合、その差額を損失として計上することになります。
つまり、棚卸減耗損は、財務諸表においては損失として認識されます。
棚卸減耗費は次の式で計算します。
棚卸減耗費 =(帳簿棚卸在庫数量 ー 実施棚卸在庫数量)× 在庫単価
棚卸減耗損の影響
棚卸減耗損の原因、棚卸減耗は、帳簿上の在庫数と実地棚卸を行って数えた在庫数との差であり、企業の財務状況に
- 利益の減少
- 資産価値の低下
- キャッシュフローの低下
等のマイナス影響を与えます。
棚卸減耗が出るということは、企業内の在庫管理体制に問題があることを意味します。在庫管理の体制を見直さない限り、今後も棚卸減耗が再発するリスクが高くなります。
そのため棚卸減耗損が発生した時は、必ず原因を特定します。有効な解決策の実施こそが、再発防止につながります。
棚卸減耗の原因
棚卸減耗の発生には以下のような原因が考えられます。
- 破損:事故・災害による破損
- 紛失:製造過程や保管中、輸送中の紛失
- 盗難:外部もしくは内部による盗難
- 劣化:時間の経過による品質低下、腐敗、汚損、期限切れ
- 入出庫時のミス:数え忘れ、数え間違い、転記ミス
- 棚卸時のミス:数え忘れ、数え間違い、転記ミス
こうして見ると、棚卸減耗発生のタイミングの大半が、棚卸や入出庫管理、保管中と在庫管理プロセスに集中していることがわかります。
棚卸減耗損対策の方法
在庫監視の強化
社内不正による盗難や過失による紛失・破損防止のため、在庫を監視する体制を強化します。具体的には在庫管理カメラや重量センサー等、常に在庫を監視できるシステムを導入します。常時在庫を見張るシステムを導入することそのものが、社内不正を未然に防ぐ抑止力となります。
在庫水準の見直し
過剰在庫に陥ると在庫管理の負担が増え、品質管理や期限管理が行き届かなくなります。過剰在庫は、欠品への不安や担当者の勘に従った発注が背景にあります。実際の在庫消費データを取得し、データにもとづいた在庫水準の見直しが有効です。
在庫管理の自動化
目視や手書きに頼った棚卸や入出庫管理では、人為的ミスをゼロにすることは不可能です。実地棚卸でチェック体制を強化すると、現場の負担が重くなり、実地棚卸回数を減らす→棚卸減耗損の原因が特定しにくくなる、という悪循環に陥りがちです。人の手に頼った在庫管理から脱却し、自動化を推進することで棚卸減耗を減らすことができます。
棚卸減耗を防ぐ重量IoTソリューション
当社の在庫管理システム「スマートマットクラウド」は棚卸を自動化するソリューションです。モノの重さを測って、重量から在庫数を計算し記録、手動管理よりも高い精度で棚卸を無人で実施します。
PC経由での遠隔管理が可能で、管理画面ではリアルタイム在庫数に加え、不動在庫の特定、在庫水準の見直しといった在庫分析の結果まで確認できます。
棚卸減耗対策に「スマートマットクラウド」
棚卸・入出庫管理の自動化
スマートマットで計測した重量データと、あらかじめ設定しておいた在庫重量から、在庫を自動でカウントします。リアルタイム実在庫データなので、タイムラグによる誤差の心配はありません。
機械学習による異常検知
スマートマットクラウドは過去の消費データを機械学習し、在庫の異常を検知します。「普段よりも在庫消費スピードが速い」、「全く動かない在庫がある」状態を検知すると、管理者にアラートを送信します。
在庫水準を簡単見直し
在庫の推移を折れ線グラフで見やすく表示します。管理画面から専門の知識不要で在庫水準を把握、見直しの提案を受け取ることができます。