在庫管理術
適正在庫とは【考え方・安全在庫との違い・計算式・適正在庫に近づけ維持する方法・成功事例】
欠品を出さずに企業利益を最大にする在庫量を適正在庫といいます。この記事では適正在庫の概念、安全在庫との違い、計算方法、そして適正在庫を維持するための戦略やIoTを活用した成功事例について詳細に解説します。
適正在庫とは?
適正在庫とは、欠品リスクを避けつつ、在庫コストを最小限に抑えるための理想的な在庫量です。適正在庫を維持する目的は、商機を逃さず、かつ在庫金額を最小限にすることにあります。
適正在庫と安全在庫の違い
適正在庫と混同されがちな言葉に安全在庫があります。
安全在庫と適正在庫の違いはWEBサイト「在庫管理110番」のコラムにて、わかりやすく解説されています。
安全在庫とは、欠品を防ぐための在庫の下限値です。
適正在庫とは、在庫数の下限だけではなく、上限も決めて過剰在庫も防ぐことです。
引用:在庫管理110番「安全在庫の計算方法と設定の注意点」 閲覧日2024年3月4日
安全在庫とは、不確実な需要変動に対応するために設けられる、在庫の下限の値です。
一方、適正在庫は利益を最大化するために設定される在庫の最適範囲であり、下限だけでなく上限も設定します。
適正在庫を維持する方法
適正在庫の基準を設定した後は、以下のポイントに従って在庫管理を行います。
- 社内で適正在庫の考え方を理解し共有する
- 在庫の補充方法を改善する
- 需要予測を実施する
- 調達リードタイム・生産リードタイムを短縮する
- 発注点管理を最適にする
特に重点を置くべきなのは在庫の補充方法の改善です。「これぐらい在庫を持っておけば欠品しないだろう」と勘に頼った発注を繰り返す体制が、過剰在庫の主たる原因になっています。
適正在庫の計算式【求め方・算出方法】
安全在庫+サイクル在庫
適正在庫は「安全在庫+サイクル在庫」の式で算出されます。
◆安全在庫の算出方法
安全在庫は以下の計算式で求めます。
安全在庫=安全係数(1.65)×使用量の標準偏差×√(発注リードタイム+発注間隔)
安全係数とは、どれぐらいまでなら欠品を許容できるかを表す数値のことで安全在庫係数ともいいます。一般的に用いられている安全係数は欠品許容率5%の数値、1.65です。
安全係数は、エクセルの「NORMSINV関数」を使って求めることもできます。
安全係数(安全在庫係数)=NORMSINV(1-欠品許容率)
◆サイクル在庫の算出方法
サイクル在庫とは、発注してから次の発注までの間に消費された在庫量の半分を表す言葉です。たとえば10日に一度発注するのであれば、5日目までに消費された数量がサイクル在庫になります。
在庫回転率と在庫回転期間
在庫回転率とは、ある期間に在庫が何回在庫が入れ替わったかを表しています。企業が保有している在庫の仕入れから販売までの速さを示す数字で、棚卸資産回転率や商品回転率ともいいます。在庫回転率の計算は「数量で求める方法」と「金額で求める方法」の2種類があります。
◆数量で求める方法
在庫回転率=出庫数 ÷ 平均在庫数
平均在庫数=(期首在庫数 + 期末在庫数)÷ 2
◆金額で求める方法
在庫回転率=売上原価÷棚卸資産
売上原価=期首商品棚卸高+当期商品仕入高-期末商品棚卸高
在庫回転率は業種によって水準が変わり、季節によっても変動があります。自社の数字の推移を追うだけでなく、前年同期比や同業他社と比較すると良いとされています。
◆在庫回転期間で求める方法
在庫回転期間とは、商品の入荷から出荷までの期間のこと。在庫回転期間が長ければ商品の入荷から出荷までのスピードが遅く、短ければスピードが速いことを意味します。
在庫回転期間を出すことで何日分・何ヶ月分の在庫を抱えているかがわかります。在庫回転期間の計算式は以下の通り。
在庫回転期間=棚卸資産÷売上原価
需要数
需要数から適正在庫を算出する計算式は以下の通りです。
適正在庫数 = 一定期間の需要数 + 安全在庫数
交叉比率
交叉比率とは、その在庫がどれだけ儲かっているのかをみることです。交差比率を使い適正在庫を算出する方法は、主に小売業で利用されています。
交差比率の計算式は以下の通り。
交叉比率 = 在庫回転率 × 粗利益率
粗利益率 = 粗利益 ÷ 売上高
交差比率を使って、適正在庫を算出する計算式は以下の通り。
在庫回転率 = 交叉比率 ÷ 粗利益率
適正在庫金額 = 売上目標 ÷ 在庫回転率
IoTソリューションによる適正在庫の維持
適正在庫を把握するには、日々の在庫調査や棚卸を頻回で実施し、入出庫管理や消費した在庫量を正確に記録する必要があります。その全てを人の手で処理するとなると莫大な労力とコストが必要になります。
IoT技術を活用することで、在庫管理の自動化が可能になり、適正在庫の維持が効率的に行えます。スマートマットクラウドは、在庫管理における自動発注、在庫圧縮、そしてシステム連携の実績を有しており、適正在庫維持に成功した事例を多数持っています。
スマートマットクラウド活用で適正在庫を実現
現場のあらゆるモノをIoTで見える化し、発注を自動化するDXソリューション「スマートマットクラウド」を使えば、簡単に在庫管理の自動化が可能です。スマートマットの上に管理したいモノを載せるだけで設置が完了。
あとはマットが自動でモノの在庫を検知、クラウド上でデータを管理し、適切なタイミングで自動発注してくれます
便利な最適閾値、最適満タン個数のサジェスト機能搭載
スマートマットクラウドには自動取得した過去2ヶ月間以上のデータをもとに 最適閾値 や最適満タン個数を予測し、提案する機能があります。在庫消費履歴から消費速度と、消費量のばらつきを割り出し、安全在庫数と合わせて算出しサジェストします。
※最適閾値提案には2ヶ月以上の計測データが必要です
※最適満タン個数は定期不定量発注の在庫が対象となります
●さまざまな自動発注に対応
お客様の発注先に合わせた文面でメール・FAXの送信が可能です
●在庫圧縮を促進
推移を把握できるグラフで適切な在庫量を判断し、在庫圧縮を促進します
●置く場所を選びません
スマートマットはサイズ展開が豊富。ケーブルレスで、冷蔵庫・冷凍庫利用も可能。
●API・CSVでのシステム連携実績も多数
自社システムや他社システムと連携を行い、より在庫管理効率UPを実現します。
適正在庫維持に成功!スマートマットクラウド導入事例