在庫管理術
在庫回転率【向上させる方法とは?適正値、計算方法、改善事例を解説】
在庫回転率は企業が保有している在庫の仕入れから販売までの速さを示す数字で、ある期間に在庫が何回入れ替わったかを表しています。この記事では、在庫回転率を把握するメリット、適正値、計算方法、改善方法をわかりやすく解説。実際に改善に成功した事例もご紹介します。
在庫回転率とは?【算出の目的】
概要
在庫回転率とは、一定期間に在庫が何回入れ替わったかを表す数値で、棚卸資産回転率や商品回転率とも呼ばれています。
企業が保有している在庫の仕入れから販売までの速さを示しており、在庫管理においてもっとも重要な指標です。
在庫回転率は数値が高いほど、在庫が効率良くお金に変わっていることを示しています。一方で、数値が高すぎる場合も仕入数が不足しているため、売り切れによる機会損失が起きている可能性があるので注意が必要です。
算出の目的
在庫回転率は売れ筋や死に筋の商品を把握し、需要予測を立てること、在庫がコントロールできているかチェックし、健全な経営ができているか確認することを目的として計算します。
在庫回転率を把握することは次のようなメリットにつながります。
- 所有している在庫状況の見える化
- 欠品による機会損失を防止
- 過剰在庫を削減し、余分なコストをカット
- 顧客ニーズを把握し、経営状態の健全化
在庫回転率の特徴
在庫回転率は業種や企業の規模によって水準が変わり、季節によっても変動があるという特徴があります。
経済産業省による中小企業の商品(製品)回転率*で示されている業種別の在庫回転率の平均は次の通り。
- 製造業:11.1
- 小売業:11.4
- 卸売業:19.9
製造業では、原材料の仕入れから、製造、出荷までの期間が長いため、小売業や卸売業と比較すると在庫回転率が低い傾向があります。
自社における数字の推移を追うだけでなく、同業他社の数値も見ながら適正な在庫回転率改善の対策を立てましょう。
在庫回転率の計算方法
在庫回転率の計算は、次の2通りの方法があります。
- 数量で求める方法:在庫管理の実務に向いている
- 金額で求める方法:財務諸表の作成や、経営判断をするときに向いている
数量で求める方法
在庫回転数を在庫数量で求める場合の計算式はこちらです。
- 在庫回転率= 出庫数 ÷ 平均在庫数
- 平均在庫数=(期首在庫数 + 期末在庫数)÷ 2
金額で求める方法
在庫回転数を在庫数量で求める場合の計算式はこちらです。売上ではなく売上原価を使います。
- 在庫回転率= 売上原価÷棚卸資産
- 売上原価= 期首商品棚卸高+当期商品仕入高 - 期末商品棚卸高
在庫回転率と在庫回転期間
現場レベルで消費ペースを理解しやすくするために、在庫回転期間を求めて、在庫の仕入れから販売までの速さを示す方法もあります。 在庫回転期間を出すことで何日分・何ヶ月分の在庫を抱えているかが実態がわかります。
- 在庫期間= 棚卸資産÷売上原価
在庫回転率を改善する方法
在庫管理担当にとって、在庫回転数を上げることが業務の課題となっている人が多いのではないでしょうか。 具体的に在庫回転率を改善する方法を紹介します。
目標在庫回転率を定める
在庫単位で目標在庫回転率を定めます。過去データや他社データを参考に数値を設定します。
こまめに在庫回転率を確認する
在庫回転率を年1回決算だけでなく、月1回や週1回と頻度を上げて計算することで現状をより把握できるようになります。
年間で定期的に在庫回転率を確認する機会を持つことで、消費動向や売れ行きの変化、特に回転率の悪化に素早く気づき、リードタイムの見直しや価格調整の迅速な判断ができるようになります。
不動在庫を整理する
在庫回転率を下げる大きな要因が、不動在庫です。短いスパンで在庫回転率をだすことで、売れ行きや消費が停滞し、会社の利益に悪影響をもたらしている在庫が可視化されます。
動きの悪い在庫は放置せず、まとめて同じ場所で管理します。値下げ販売を検討し、売れる見込みがなければ処分を検討します。
在庫回転率を改善!「スマートマットクラウド」
スマートマットクラウドは、現場のあらゆるモノを見える化し、在庫管理・棚卸・発注を自動化する在庫管理サービスです。重量IoTを使用したスマートマットの上に管理したいモノを載せるだけで、設置が完了。あとはマットが自動でモノの在庫を検知、クラウド上でデータを管理し、適切なタイミングで自動発注してくれます
遠隔からリアルタイムで実在庫数を確認
在庫確認の際に倉庫などの保管場所にいちいち赴くことなく、パソコンの管理画面「在庫一覧」からリアルタイムの在庫情報を確認できます。
蓄積したデータから在庫回転率を算出
スマートマットクラウドは日々の棚卸を自動化。蓄積したデータから短期間で在庫回転率を割り出すことが可能です。在庫回転率の計算に必要だった実施棚卸をする必要がありません。
ボトルネック在庫を特定し、在庫回転率を改善
スマートマットクラウドは在庫の動きを自動で見える化します。ボトルネックになっている不動在庫や過剰在庫、在庫切れの危険のある在庫を特定し、在庫回転率の改善に貢献します。
在庫回転率の改善の成功事例
▼在庫の見える化で在庫回転率を0.28から0.82と大きく改善(SGモータース株式会社)
部品在庫を手動で実地棚卸をしていたため、在庫差異が多く発生。また、欠品しないよう在庫に余裕を持たせて発注していたため、過剰在庫に陥っていた。スマートマットクラウド導入後は、在庫の可視化で約30%もの在庫削減に成功。在庫回転率も0.28から0.82と大きく改善した。