在庫管理術
在庫引当【基本の考え方やメリット、効率化につながる管理方法をわかりやすく解説】

在庫引当は、実際の在庫数から受注分を差し引き、確保することで欠品や二重予約などのリスクを回避し、スムーズな出荷・販売を行うために欠かせない手法です。
本記事では、在庫引当の基本的な考え方、具体的なメリットと方法をはじめ、Excelや専用システム、そして重量センサーを活用したIoTサービスなど、多彩な選択肢をわかりやすく紹介します。
在庫引当とは【ロジック・考え方】
在庫引当の意味
在庫引当(読み方:ざいこひきあて/英語:inventory reservation)とは、実際にお店にある在庫数から、すでにお客様から注文を受けていて販売待ちの状態にある在庫を引いておくことです。
これにより、販売可能な在庫(有効在庫)と、すでに確保済みの在庫(引当在庫)を明確に分けることができ、欠品や過剰受注といったトラブルを防ぐことができます。
例えば、倉庫に24個の商品があり、すでに8個の注文が入っている場合、この8個を引当在庫として確保すると、他の担当者は残りの16個のみを販売可能な在庫として扱うことができます。これにより、二重予約や誤発注を防ぎ、スムーズな業務運営が可能になります。
在庫引当の重要性
在庫引当をしないと、受注により在庫が減ったことに他の担当者が気づかないため、在庫数を超えた受注をしてしまい、在庫切れや納品の遅延などが起こる危険性があります。
受注した時点で在庫引当を行なっていれば、他の担当者にも在庫数がリアルタイムに共有されるため、ミスやトラブルを防ぐことができるため、在庫引当を行うことはとても重要な意味を持ちます。
在庫引当の種類
在庫引当には、運用方法や目的によっていくつかの種類があります。それぞれの特徴を理解し、適切な管理を行うことが重要です。
受注引当(Order Allocation)
- 顧客からの注文を受けた時点で、在庫を確保する方法。
- ECサイトや小売業で一般的に使用される。
- 注文後に在庫を確保することで、欠品を防ぎ、納期遅れを防止。
生産引当(Production Allocation)
- 製造業などで、原材料や部品の在庫を確保し、生産計画に応じて割り当てる方法。
- 工場の生産スケジュールに基づき、部品不足を防ぐ役割を持つ。
- 需要予測を基に、適切な在庫調整が求められる。
安全在庫(Safety Stock Allocation)
- 予期せぬ需要増や供給の遅延に備え、一定量の在庫を確保する方法。
- 急な受注増加や物流のトラブル時でも対応可能。
- 適切な安全在庫の設定には、過去のデータ分析や需要予測が必要。
これらの在庫引当を適切に運用することで、在庫管理の精度が向上し、販売機会の損失を防ぐことができます。特に、リアルタイムでの在庫状況の可視化が求められる現代のビジネス環境では、在庫引当の仕組みを最適化することが重要です。
在庫引当の方法【手書き・エクセル・在庫管理システム】
企業の規模や運用ルールにより、在庫引当の方法はさまざまです。以下に3つの主な方法を挙げます。
手書き・紙ベースの管理
特徴
- 注文や入出庫の都度、紙やホワイトボードなどに在庫を記入
- 小規模の事業や在庫アイテム数が少ないケースで採用されやすい
メリット
- 初期コストがほぼかからず、導入のハードルが低い
- 慣れた方法を使えるため、すぐに始められる
デメリット
- 記入ミスや更新漏れが起きやすい
- 在庫情報のリアルタイム共有が難しく、別の担当者が重複して発注するリスクがある
エクセル・スプレッドシートでの管理
特徴
- 表計算ソフトやクラウド型スプレッドシートを使い、入出庫を記録
- 小~中規模の企業でよく使われる
メリット
- 計算式を用いて自動合計や在庫数を算出できる
- クラウド上で複数人が同時に編集できる場合は、紙ベースよりも情報共有が容易
デメリット
- 手動入力のため、ヒューマンエラーが発生しやすい
- 管理する商品数が増えると、ファイルが複雑化して更新が追いつかなくなる
専用システム(在庫管理システム・ERPなど)の活用
特徴
- 受注や入出荷データと連携して在庫を自動引当できるシステムを利用
- 中~大規模の事業者や、商品数が多いケースで導入されることが多い
メリット
- 在庫データをリアルタイムで更新できるため、正確性が高い
- 受注・仕入れ・物流と連動し、引当プロセスを効率化できる
- 多拠点での管理にも対応しやすい
デメリット
- 導入やシステム利用にコストがかかる
- 社内フローや扱う商品の特性に合わせた設定・カスタマイズが必要
在庫引当を効率化するツール
在庫管理システム(WMS)
倉庫の入出庫を中心に管理し、在庫数をリアルタイムで把握するシステムです。商品の受注データとリンクさせることで、在庫の自動引当が可能になります。物流業界やEC事業者では特に多く活用されており、倉庫内の作業効率化にも貢献します。
ERP(Enterprise Resource Planning)システム
販売管理、購買管理、会計管理など、企業全体の業務フローを統合的に管理するシステムです。在庫管理モジュールが搭載されている場合、受注や生産計画と連動して在庫を引き当てられるため、部門間でのデータ共有をスムーズに行えます。
IoTや自動化技術を活用した在庫管理
センサーやRFIDなどを利用し、在庫数を自動的に計測する方法です。手動によるミスを減らせるほか、クラウド上でデータを一元管理できるため、複数拠点の在庫状況をリアルタイムに把握しやすくなります。
RFIDやバーコードなどのハンディターミナルでスキャンするなどして正確な数を把握しておくことが大切ですが確認ミスや入力ミス、スキャンの手間や導入コスト…といった課題も。
在庫引当を正確に!スマートマットクラウドを使った在庫管理とは
在庫引当を正確かつ効率的に行うには、リアルタイムでの在庫把握が欠かせません。そこで注目されているのが、重さで実在庫を計測する在庫管理システム「スマートマットクラウド」です。
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マットに商品を置くだけで在庫を計測
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重量センサーが搭載されたマットの上に管理したい商品や資材を載せておくだけで、在庫数を自動で検知・記録します。手動入力やスキャン作業が大幅に減るため、ヒューマンエラーのリスクを軽減できるのが大きな特徴です。
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リアルタイムで共有可能
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センサーで計測したデータはクラウド上に送信され、在庫状況をいつでも確認・共有できます。受注が入った際には、最新の在庫情報をもとに即座に引当が行えるため、欠品やダブルブッキングといったトラブルを未然に防止できます。
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さまざまな業種・用途に対応
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ネジなどの小物部品から大型資材まで、重量管理が必要なアイテムであれば幅広く応用可能。製造業や小売業、EC事業者など、在庫引当をより厳密に行いたい企業にとって有力な選択肢となります。
この記事を書いた人

スマートマットクラウド メディア編集部
スマートマットクラウド メディア編集部です。業務効率化や業務の課題解決などをわかりやすく解説します!
【スマートマットクラウドとは?】
スマートマットの上にモノを置き続け、重さで数を数えるIoTサービスです。
ネジなどの部品、副資材・仕掛品・粉モノや液体の原材料まで、日々の在庫確認や棚卸・発注まで自動化します。