在庫管理術
多品種少量生産【導入が進む背景と業界・メリットとデメリット】
この記事では、多品種少量生産が注目される理由・導入が進む業界・メリットとデメリットをわかりやすく解説。また多品種少量生産の課題を解消するIoTソリューションをご紹介します。
多品種少量生産とは【概要】
多品種少量生産(英語:High-mix low-volume production)とは、工場で製造する際に、市場や顧客のニーズや好みに合わせて多種多様な製品や商品を少量ずつ製造する生産方式です。
従来は同じ製品や商品を大量に生産する少品種大量生産方式が主流でしたが、1990年代以降から市場や消費者ニーズの多様化に伴い、現在の製造業の現場では多品種少量生産が主流になっています。
さらにより多様化する消費者ニーズに対応するため、多品種少量生産を発展させた変種変量生産も登場しています。
多品種少量生産がすすむ理由と背景
多品種少量生産が注目されるようになった大きな理由は、市場や消費者のニーズの多様化にあります。
より多様な価値観を持つZ世代
いわゆるZ世代とは、1990年代半ば~2010年頃生まれの若者を指し、これからの消費の中心になっていくため、その消費行動に注目が集まっています。
Z世代は、これまで以上に多様な価値観を持っているため、「消費は自分の主張」「1つのものにこだわらず、飽きたらフリマサイトで売って、また新しいものを購入する」という消費行動パターンが多く見られます。
インターネットやSNSの普及
かつては、何かを購入する際は実際に店舗に行き、吟味してから購入する行動パターンが一般的でした。
インターネットやSNSの普及により、現在はECサイトでのネットショッピング、SNSでの口コミを参考にした消費行動に遷移。
より手軽に購入できる上に、多彩な商品や製品から選ぶことが当たり前となったため、商品・製品のライフサイクル*が短くなっています。
*製品ライフサイクル:製品ライフサイクル:製品寿命とも言われ、市場への投入から成長期・成熟期・衰退期・退場までのサイクル。年々、短くなっていると指摘されている。
インダストリー4.0
製造業において、IoT(モノのインターネット)やAIなどの最新技術を取り入れ、あらゆる作業や工程を自動化し、より効率良く、生産性を高めていく取り組みを指すインダストリー4.0。
これからの製造業では、IoTなどの最新技術を活用して生産性を高め、多様化している市場ニーズに応えていく動きが活発になっていきます。
マスカスタマイゼーション
「マスプロダクション(大量生産)」と個々の顧客のニーズに合わせた製品を生産する「カスタマイゼーション(受注生産)」という2つを組み合わせた生産方式です。
コスト削減と効率化の大量生産と、個々の顧客ニーズに応える個別生産両方のメリットをあわせ持ち、インダストリー4.0の目標のひとつと言われています。
多品種少量生産の具体例
多品種少量生産は数多くの業界で導入されています。導入事例や多品種少量生産に適した製造業を紹介します。
自動車業界
多品種少量生産の原価を徹底的に抑えるために編み出された代表的な生産方式に「トヨタ生産方式」があり、これは「ジャストインタイム(JIT)」と「ニンベンのついた自働化」を2本柱としています。
顧客ニーズに対応すべく、さまざまなモデルやオプションを常に展開しているトヨタをはじめ、自動車業界は、多品種少量生産を導入している代表的な事例と言えます。
*TOYOTA公式HP「トヨタ生産方式」参照
食品業界
近年では、お菓子ひとつとっても季節限定や地域限定、キャラクターとのコラボなど、味やパッケージに変更を加え、多種多様な商品が販売されています。
また味やパッケージに限らず、消費者のニーズに合わせて原料の産地や成分こだわったり、乳幼児向けや高齢者向けの食品を提供したりすることも。
このように多彩なニーズがある食品業界でも多品種少量生産が重要になってきています。
アパレル業界
季節や流行の変化に影響を受け消費者ニーズが最も流動しやすく、製品ライフサイクルが短い商品が数多く見受けられるアパレル業界。
同じデザインの衣類であったとしても、カラーバリエーションの豊富さなど多様性を求められるため、多品種少量生産に向いています。
多品種少量生産のメリット
多品種少量生産には主に以下のメリットがあると言われています。
多様な市場・消費者ニーズに対応できる
すでに述べたように、近年の多様な消費ニーズに素早く応えることが可能な生産方式が多品種大量生産です。
具体的な例として、同じデザインのTシャツ1つの場合、
これまでは最も人気で定番の白Tシャツを大量生産
白Tシャツを3,000枚
↓
白以外にもさまざまな世代のニーズを意識したカラーバリエーションのTシャツを少量生産
白・黒・赤・黄・緑・ピンク・紫・青・オレンジ・茶の10カラーを各300枚ずつ 10×300=3,000枚
といったように生産することで、より幅広いニーズに応えることが可能になります。
消費者ニーズに応えることは、売り上げ向上に留まらず、顧客満足度アップやリピーター獲得に繋がります。また消費者ニーズに答え続けることで、消費者からの信頼を得ることができるでしょう。
過剰在庫のリスクが軽減される
多彩な消費者ニーズに応える「多品種少量生産」の場合、商品種大量生産と比較すると過剰在庫を抱えるリスクが低くなります。
需要以上の在庫を抱えることが減るので、キャッシュフローの改善が可能になり、在庫管理に掛かるさまざまなコスト削減にも寄与します。
多品種少量生産のデメリット・課題
消費者にも企業にもさまざまなメリットをもたらす多品種少量生産ですが、以下のような点には注意が必要という声も聞かれます。
生産効率が低下する
少品種大量生産は、生産する種類が少なく生産プロセスが単純であるため、生産性が高くなります。
対して多品種少量生産の場合、品種ごとに資材や原料、生産プロセス、技術が異なるため、品種が変わる度に原料や資材の準備、生産条件の変更などの段取り替えが発生。そのため、生産効率が大量生産より低下する傾向があります。
さらに商品の仕様変更に伴い、生産ラインを変更する必要がある場合、一定の期間、ラインを完全に停止して商品仕様に適応した設備や機械の導入・設置など、生産ラインの仕様そのものを変更することが必要です。
このように多品種少量生産はさまざまな要因により、生産効率が低下することを加味しましょう。
生産コストが増える
多様な製品・商品を生産に必要な原材料や資材などの数が増えるため、少品種大量生産よりも、原料コストや購買時の人的負担など、必然的に仕入れに掛かるコストが増加します。
また、管理する商品や製品が多品種にわたると、商品ごとに区分される資材の保管場所代や煩雑な管理に掛かる人件費などの在庫管理コストが、従来の大量生産の在庫管理コストより高くなる可能性は大。
例えば、白Tシャツだけを大量生産するよりも、カラーバリエーション豊富なTシャツを生産するには、仕入れ代として染料代が増えます。
また在庫管理では、白Tシャツ1種類に関わる染料や生地の原料数を管理するより、数種類のカラーの染料を管理する手間暇や人件費、カラーごとに染料を保管する場所に掛かるコストが増加する点がデメリットです。
多品種少量生産の課題を解消「スマートマットクラウド」
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あとはマットが自動でモノの在庫を検知、クラウド上でデータを管理し、適切なタイミングで自動発注してくれます。
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自社システムや他社システムと連携を行い、より在庫管理効率UPを実現します。
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スマートマットクラウドはリアルタイム実在庫情報を収集、分析、遠隔で管理。工場内の自動化、スマートファクトリー化をサポートするIoTソリューションです。
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◆特徴
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