在庫管理術
歯科医院の開業【需要・開業のタイミングと年齢・開業資金・開業時に始める歯科DX】
歯科医院の需要【開業数・廃業率は?】
むし歯予防の意識の高まりやケアが増えたことからむし歯にかかる子どもの数が減少している一方で、高齢化社会に伴い、今後しばらく65歳以上の患者数が増加していくと予測されています。
このような背景から
- 歯科医院の需要はまだまだ衰えない
- 歯科医院の競争は激化している
実際、厚生労働省「令和元(2019)年医療施設(動態)調査・病院報告の概況」によると、2018年10月~2019年9月に開業した歯科診療所は1,451件、一方で廃止となった数は1,478件と開業と廃業の歯科医院数はほぼ同数。
また、帝国データバンクの調査によると、2021年に休廃業・解散した歯科医院は84件で、これは2016年以来、最多の数字です。
歯科医院の廃業率は増加している一方で、需要は相変わらずあるため、開業する歯科医院もあるということがわかります。
上記ような歯科医院需要を踏まえ、この記事では、歯科医院の開業の注意点やタイミングと年齢、開業資金についてわかりやすく解説していきます。
開業時に始める歯科DXやIoTツールについてもご紹介。実際にツールを導入した先生方による開業アドバイスもありますので、ぜひチェックを!
歯科医院の開業の注意点
ここまでお話ししたように、時代や人口の変化などさまざまな要因により、競争の激しい歯科医院ですが、需要はあるため、新規開業・継承開業*を考える医師が多いのが実情です。
ここからは、実際に歯科医院を開業する際に知っておきたいこと、注意点をわかりやすく解説していきます。
*継承開業:すでに開業している現院⻑から歯科医院やクリニックを譲り受け開業するスタイルの開業。
歯科医院の開業年齢【いつ?何歳まで】
厚生労働省「平成30年(2018年)医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」の年齢別に見た開業の割合は、年齢とともに割合が増えていき、60歳代がピークで、66歳が84%となっています。
35~36歳あたりから約20%の人が開業しており、その後50代までの間に70%の歯科医が開業しています。
要するに、歯科医師の開業年齢は、35歳以上で開業していく人が増加し、40代のうちには過半数が開業していることがわかっています。
歯科医は一般の医師同様、「忙しい」「激務」と言われているため、体力のある30代の頃から、独立・開業を意識し、計画を立てることが重要だと言えるでしょう。
歯科医院を開業するには【形態・立地】
歯科医院が開業する際、どのような立地でどのような形態で開業するかは主に以下のような形態が挙げられます。
それぞれメリットとデメリットがありますので、自院の目的や規模などを十分検討ことが重要です。
- 医療モール開業
医療機関(クリニック)の入居を前提として計画された建物での開業。 - 戸建開業
ビルや医療モールへのテナントではなく、一軒家で開業すること。かなりの初期費用が必要。 - ビル診(ビル診療所)
ビルの一角でクリニックを開業すること。 - テナント開業
ビルやショッピングモールなどの建物にテナントとして入居し、クリニックを開院すること。
歯科医院の開業の流れ
歯科医院を開業するということは、保険診療が出来る状態にすることです。
そのためには、開業場所を管轄する地方厚生局事務所に保険医療機関指定申請書を提出し、指定医療機関コードを発行して貰う必要があります。
そして、この申請を行うには、内装・機材搬入が完了し、保険診療が開始できる準備が終わっていることが大前提です。
このことを踏まえ、歯科医院開業の流れを大まかにまとめると以下のようなスケジュールになります。
- 開業地確定
- 内装工事・設備確定
- 申請・届出
- スタッフの採用
- 備品や消耗材料の契約
- 自院の広告・集患
- 開業
このように、歯科医院の開業には膨大な資金の他に、さまざまな準備が必要なため、資金計画も含め、綿密なスケジュールを立てることが重要です。
歯科医院開業資金はいくら?
まず気になるのは、歯科医院を開業する際にかかる資金です。歯科医院を開業する際には、主に以下のような費用の準備が必要になります。
- 物件取得に必要な初期費用
- 施設の内装工事費
- 医療機器の購入費用
- 病院に必要な備品の購入費
- 運転資金
- 歯科衛生士やスタッフなどの人材(求人)費
- オープン告知・広告費
そして、歯科医院では、使用する医療機器への高額な投資が必要なため、他業種に比べて開業資金がかさむ傾向にあり、事前にしっかりと計画を練っておく必要があります。
目安としては、一般的な歯科(デンタル)ユニット*3台程度の診療所の場合で5,000万円以上といわれています。
*歯科(デンタル)ユニット:歯科診療室に不可欠で、歯科医が患者を診察し適切なケアを行うための設備。 主に患者の診察と治療を行う位置を決める歯科用椅子、さまざまな器具が接続されている器具トレ-、治療用ライト、痰壺、吸引装置などで構成される。
その主な内訳としては、
- 医療機器・材料費 2,000~3,500万円
- 賃貸契約・内外装工事費 2,000~3,000万円
- 当面の運転資金 1,000万円前後
- 人材(求人)費・広告費 150~400万円
このように歯科医院の開業には、多額の資金が必要となります。
歯科医院開業と年収事情
厚生労働省「第22回医療経済実態調査 (医療機関等調査) 報告 」「 令和2年賃金構造基本統計調査」によると、歯科医師の平均年収は787万5100円となっています。
また、開業医の平均年収が約1200万円であるのに対し、勤務医の平均年収は約564万円という数字が出ています。
ただし、すでにご紹介したように、開業医の場合は、莫大な初期投資や設備維持費が必要になるため、十分な資金を確保し、ある程度の患者数を見込めない場合、数年で失敗・廃業というリスクは大きくなります。
無事に開業しても、その後、いかに安定した経営を維持できるかをしっかり事前に計画しておく必要があります。
次の章では、歯科医院の経営を効率化する今、話題のIoT、歯科DX化について詳しくご紹介!
歯科医院の開業はDX化の好機
歯科医院は、競合が多いため、開業の際に取り組みたいのが、経営を効率化すること。
そして、そのために大きな課題となっているのが、医療資材の在庫管理や棚卸・発注です。
また、人材不足、スタッフが定着しない…といった人材面での課題もあげられています。
そこで注目され、近年続々と各企業で導入されているのが在庫管理・棚卸・発注の自動化であり、その最も有効な方法として以下の2つが大きなキーワードとされています。
●DX(デジタルトランスフォーメーション)
企業の営みや産業全体をデジタルの力でよりよくしていく取り組み
● IoT(Internet of Things)
IoT=「モノのインターネット化」
IoT機器を導入することにより、「自動化」や「見える化」が可能になり、棚卸、現場作業の改善、在庫管理、発注管理、品質管理なども効率的に行えるようになります。
このように稼働状況や生産状況、在庫などのデータを分析することで、人力では発見しにくい問題や傾向なども把握できるようになり、生産性の向上やロスタイムの削減につながります。
デジタルテクノロジーを駆使して、企業経営や業務プロセスそのものを根本的に改善していくDX(デジタルトランスフォーメーション)を実現するためにIoTは欠かせない要素となります。
また、新型コロナウイルス対応などで業務に忙殺されている医療分野や調剤薬局、リモートワークを取り入れたい現場スタッフをサポートすることも大いに期待されています。
次の章では置くだけで在庫の見える化!医薬品標準コード「メディコード」とのデータ連携が可能!今、話題のIoT機器「スマートマットクラウド」をご紹介します。
スマートマットクラウドで発注・在庫管理を自動化
現場のあらゆるモノをIoTで見える化し、発注を自動化するDXソリューション「スマートマットクラウド」を使えば、貴院でも簡単に自動化が可能です。スマートマットの上に管理したいモノを載せるだけで設置が完了。
あとはマットが自動でモノの在庫を検知、クラウド上でデータを管理し、適切なタイミングで自動発注してくれます。
さまざまな自動発注に対応
「スマートマットクラウド」は、メール・FAXに加え、医薬品やディスポーザブル製品の受発注などに広く使われている標準商品コード「メディコード」を使ったAPI連携により、貴院で現在お取引のあるCiモール、FEEDデンタル、P.D.R.オンラインなどの主要ディーラーに対し自動で発注を行うことができます。
スマートマットのサイズは、A6サイズ〜A3サイズまで
- 倉庫室のラック上
- 診療エリア備え付けの棚の中
- 引き出しの中
貴院のスペースや使用状況、導線に合わせた設置が可能です。
次の章では、実際にスマートマットクラウドを導入した歯科医院の導入事例をいくつかご紹介します。
スマートマットクラウドを導入した先生方による開業アドバイス
スマートマットクラウドは、現在多くの歯科医院にご利用いただいています。スマートマットクラウドを導入されているクリニックの先生による開業のアドバイスをご紹介します。