在庫管理術
歯科医院の人件費【人件費の現状・売り上げと人件費の関係・人件費削減に必須のIoT】
歯科医院の医業費用と人件費
歯科医医院のいわゆる支出=医業費用を見てみると、
医薬・歯科材料費は、6.4%、人件費は1.7%の増加していることが明らかになっています。
医業費用(単位:千円)
2019年 | 2020年 | 前年対比 | |
医薬・歯科材料費 | 5,633 | 5,992 | 106.4% |
人件費合計 | 10,751 | 10,936 | 101.7% |
歯科医院の売上(医業収入)と人件費
2020年に決算を終えた歯科診療所309件(医療法人89件、個人開業 220件)から、医業収入が年間5千万円未満、5千万円以上1億円未満、1億円以上に分けて、分析した結果を見ると…。
5千万円未満 | 158件(医療法人20件 個人開業138件) |
5千万円以上1億円未満 | 117件(医療法人41件 個人開業76件) |
1億円以上 | 34件(医療法人28件 個人開業6件) |
このように、医業収益1億円を超えている歯科診療所は約1割に過ぎず、5千万円未満の歯科医院が大半を占めていることがわかります。
そして、医業収入5千万円未満の診療所の平均データを見ると…。
(単位:千円)
2019年 | 2020年 | 前年対比 | |
医業収入 | 32,764 | 30,904 | 94.3% |
医薬・歯科材料費 | 2,757 | 3,043 | 110.4% |
人件費 | 5,494 | 5,620 | 102.3% |
医業収入は減収減益となっているにも関わらず、医薬・歯科材料費や人件費は増加しています。
この記事では、歯科医院の人件費の現状、売上と人件費の関係、人件費削減に必須と言われている話題のIoTツールについて詳しく解説していきます。
最後に実際にIoTを導入し、人件費削減に成功した歯科医医院の事例もご紹介!
歯科医院の利益率と人件費の関係
保険診療を中心とする歯科医院では、医業利益率は一般的に約25%といわれています。
そして、美容診療やホワイトニングなどの自由診療*へ取り組んでいる歯科医院では、医業利益率が約45%と高いことがわかっています。
このことから、1日当たりの患者数が少なくても、保険診療中心の診療所以上の医業利益を確保することが可能になります。
一方で、自由診療を行うということは、
- より多くの種類の医療材料や資材を揃える必要がある
- より複雑な治療に対応できる人材を揃える必要がある
ということになるため、医薬・歯科材料費や人件費が増加することになります。
*自由診療:治療として、国の承認を受けるための全段階を満たしておらず、有効性などが公的に確認されていないので『保険診療』として扱われないもの。保険診療と厚生労働省が承認していない治療や薬を併用すると、公的医療保険による医療費負担は適用されず、治療費が全額自己負担となる。
歯科医院の売上高と人件費
ここまでご紹介してきたように、歯科医院は〝コンビニより数が多い〟などと揶揄され、経営競争は激化しているにも関わらず、医業収集は減収減益です。
さらに、医薬・歯科材料費や人件費が増加という大きな課題を抱えています。
では、売り上げを上げるために歯科医院が目指すべき適切な人件費はどれくらいを目安にすれば良いのでしょう。
- 売上高=保険売上+自費売上*
この売上高から、変動費(材料代や技工代)を引いた額が粗利*となり、さらに粗利から固定費(家賃や人件費など変動費以外のすべて)を引いた額が利益となります。
- 変動費=材料代+技工代
- 利益=粗利*(売上高-変動費)-固定費
*自費売上:保険のきく治療は本人負担額を治療したその日に現金でもらう=「保険売上」。保険のきかない自由診療も治療したその日に全額現金でもらうのが原則=「自費売上」。
つまり、歯科医院の売り上げを上げるには、固定費に含まれる人件費をいかに適正に抑えるかが重要です。
だからこそ、人件費の無駄を洗い出し、コスト削減に取り組むことが重要課題に。
*粗利(あらり):売上高から材料費や人件費などの売上原価(コスト)を差し引いた利益。「売上総利益」のこと。
歯科医院の適切な人件費
固定費の中でも、金額が大きく、適正化・コスト削減に取り組みやすいのが人件費だと言われています。
粗利に占める人件費の割合のことを「労働分配率」と言い、歯科医院経営の適正値は診療スタイルや規模によって異なりますが、一般的には、粗利の20~30%を目標にするべきと言われています。
- 医業収入から技工費と材料費を引いた額で人件費を割った数値
- 労働分配率(%)= 人件費 ÷ 医業総利益(医業収入ー変動費) × 100
そして、売上高に対する人件費の割合のことを「売上高人件費率」と言います。
売上高人件費率には、歯科衛生士などのスタッフの給与や賞与・福利厚生費などが含まれ、以下の計算式で求めます。
- 売上高人件費率(%)= 人件費 ÷ 医業収入 × 100
売上高人件費率が高い=医院の人件費の負担割合が大きいということになります。
売上高人件費率も診療規模やスタイルによって異なりますが、一般的に個人医院での適正な人件費率は25%前後と言われています。
歯科医院の人件費の課題
ここまでご紹介してきたように、減収減益傾向の歯科医院の支出の中でも、増加傾向にあり、最もコスト削減・適正化の重要性が唱えられている人件費。
では、具体的に歯科医院の人件費にはどのような課題があるのかを見ていきましょう。
- 人材育成が難しく、長期雇用に結びつかないため、求人費用や教育コストがかかる
- 医薬品や材料費が多いため、その在庫確認や発注作業の負担が多い=時間外労働(残業代がかかる)
歯科医院の人件費削減をサポートするIoT
増加傾向にある歯科医院の人件費を削減するために、真っ先に取り組みたいのが、医療資材の在庫管理や発注です。
在庫管理や発注は、歯科衛生士などのスタッフが本来の業務の合間や、そのために残業をしてまで行っていることが多く、スタッフの労力や人件費がかさむ大きな要因になっています。
そこで注目され、近年続々と各企業で導入されているのが在庫管理・棚卸・発注の自動化であり、その最も有効な方法として以下の2つが大きなキーワードとされています。
●DX(デジタルトランスフォーメーション)
企業の営みや産業全体をデジタルの力でよりよくしていく取り組み
● IoT(Internet of Things)
IoT=「モノのインターネット化」
IoT機器を導入することにより、「自動化」や「見える化」が可能になり、棚卸、現場作業の改善、在庫管理、発注管理、品質管理なども効率的に行えるようになります。
このように稼働状況や生産状況、在庫などのデータを分析することで、人力では発見しにくい問題や傾向なども把握できるようになり、生産性の向上やロスタイムの削減につながります。
デジタルテクノロジーを駆使して、企業経営や業務プロセスそのものを根本的に改善していくDX(デジタルトランスフォーメーション)を実現するためにIoTは欠かせない要素となります。
また、医療分野や調剤薬局、リモートワークを取り入れたい現場スタッフの大きな負担となっている在庫管理や発注を自動化することも大いに期待されています。
次の章では置くだけで在庫の見える化!医薬品標準コード「メディコード」とのデータ連携が可能!今、話題のIoT機器「スマートマットクラウド」をご紹介します。
スマートマットクラウドで発注・在庫管理を自動化
現場のあらゆるモノをIoTで見える化し、発注を自動化するDXソリューション「スマートマットクラウド」を使えば、貴院でも簡単に自動化が可能です。スマートマットの上に管理したいモノを載せるだけで設置が完了。
あとはマットが自動でモノの在庫を検知、クラウド上でデータを管理し、適切なタイミングで自動発注してくれます。
さまざまな自動発注に対応
「スマートマットクラウド」は、メール・FAXに加え、医薬品やディスポーザブル製品の受発注などに広く使われている標準商品コード「メディコード」を使ったAPI連携により、貴院で現在お取引のあるCiモール、FEEDデンタル、P.D.R.オンラインなどの主要ディーラーに対し自動で発注を行うことができます。
スマートマットのサイズは、A6サイズ〜A3サイズまで
- 倉庫室のラック上
- 診療エリア備え付けの棚の中
- 引き出しの中
貴院のスペースや使用状況、導線に合わせた設置が可能です。
次の章では、実際にスマートマットクラウドを導入した歯科医院の導入事例をいくつかご紹介します。
スマートマットクラウド導入事例
スマートマットクラウドは、現在多くの歯科医院にご利用いただいています。スマートマットクラウド導入が人件費削減に貢献した事例をご紹介します。