在庫管理術
RFIDとは【タグの仕組み・種類・価格・導入事例】
この記事では、RFIDの仕組み・特徴や、種類と活用例、価格、導入事例、課題やデメリットについて解説していきます。この記事ではRFIDについて簡単にわかりやすくまとめました。
RFIDとは?
RFIDとは、RFIDタグやラベルやカードに記憶された人やモノの個別情報を、無線通信によって読み書きする自動認識システムのことです。
RFID(読み方・アールエフアイディー)とは、英語の「Radio Frequency Identification」の略です。
RFIDタグは、情報を読み書きできる記録媒体のことで、RFタグ、電子タグや無線タグ、ICタグ、ICカードなどとも呼ばれています。
身近なRFID技術の活用事例
RFIDの技術は私たちの身近な場所で幅広く活用されています。
交通系ICカード
Suica(スイカ)やPASMO(パスモ)は改札機の読み取り部にカードをかざすことで、無線交信で検札情報のやり取りを行います。
スマートキー
スマートエントリーシステムを搭載した電子キーで、非接触でドアの施錠・開錠・開閉やエンジンのon/offを行います。
ETCカード
ICカードの一種でETCシステムを利用して高速道路を通行する際に、通行料金を無線通信で精算・決済します
アパレルタグ
商品に取り付け、アパレルの在庫管理や無人レジなど店舗業務の効率化をはかります。ユニクロでは、2018年以降全商品に対してRFIDタグを貼り付けています。
RFIDタグの構造
RFIDタグ(ICタグ)は、データを記録できるICチップに金属製のアンテナを接続した構造になっています。ICチップとアンテナをインレットと呼び、インレットのまわりはシールラベルやプラスチックで保護され、用途に合わせた形状に加工されています。
RFタグのメモリ領域
RFタグのメモリ領域は次の4つの領域で構成されています。
- EPC領域:ICタグを識別するのに使用うEPCコードを格納する
- USER領域:ユーザーが自由に書込み読み取りできる
- TID領域:タグ固有のIDが登録されている
- RESERVED領域:Access Password※とKill Password※を保存する
※Access Password:タグへの書き込みをロックする際に使うパスワード情報
※Kill Password:ICタグを無効化する際に使用するパスワード情報
RFIDの仕組み
RFIDでは、タグとそれを読み取る専用のRFIDリーダー(読み取り機)を使います。具体的なRFIDの仕組み、実際の通信の流れは以下のようになっています。
- RFIDリーダーから電波を発信
- RFIDタグ内のアンテナが電波を受信
- RFIDタグに電気が流れ、情報を信号化
- RFIDタグ内のアンテナから信号化された情報を発信
- RFIDリーダー側で信号化された情報を受信し取得する
- RFIDリーダーの制御コントローラーを介して、ソフトウェアやアプリケーションでデータ処理を行う
RFIDの種類と活用例
RFIDでは、以下の4種類の電波の周波数帯が使用されています。
LF帯 Low Frequency |
HF帯 High Frequency |
UHF帯 Ultra High Frequency |
マイクロ波帯 | |
通信方式 | 電磁誘導 | 電磁誘導 | 電波 | 電波 |
周波数 |
~135KHz | 13.56MHz | 860~960MHz | 2.45GHz |
特徴 | 通信距離が数十センチと短くアンテナの巻数を多く必要なので、通信範囲が狭い。小型化が難しい。 | LF帯に比べてアンテナの巻数は少なくすむため、薄型・小型化も可能。 | 通信範囲が広いので、数メートル離れた距離での使用や一括読み取りを行う必要のある際に活躍。 | 電波干渉の懸念があり、対策が必要。通信距離も短いため、扱いが難しい。 |
通信範囲 | ~10cm | ~10cm | ~数m | ~3m |
金属の影響 | 少ない | 少ない | 中 | 大きい |
活用例 | 自動車のスマートキーなど | お財布ケータイや交通系カードなどの電子マネーなど | アパレル・小売業の商品管理や製造業などの在庫管理など | ー |
RFIDのタグの種類
RFIDのICタグにもバッテリーの有無や周波数によって種類があります。
- パッシブ型:バッテリー非内蔵
- アクティブ型:バッテリー電池が内蔵されている
- セミアクティブ型:最初に起動されるまでパッシブタイプとして動作し、起動された後はアクティブとして動作する
さらにICタグには以下の通信規格があります
- フィリップス社開発「Mifare」などの「Type A」
- モトローラ社開発の高セキュリティ規格「Type B」 (運転免許証などに利用)
- ソニー社開発「FeliCa」(Suicaなどに利用)
RFIDにかかるコスト
RFIDを使用する時にかかるコスト※は次のようになっています。
- RFIDタグ・カード:5~10円/1枚
- RFIDプリンター:50万円前後/1台
- ソフトウェア・アプリケーション:製品により異なる
- RFIDリーダーライター(読み取り機)
ハンディ型:20万円前後/1台
据置型:20万円前後/1台
ゲート型:数百万円程度/1台
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またパソコンやマウスなど、RFIDを運用するのに必要な周辺ソフトウェアにも費用が発生します。RFIDは金属にタグを貼付けた際、読み取り精度が低下することがあります。金属対応タグは通常より割高で、1枚につき100円程度のコストがかかります。
- ※2022年11月時点の情報です
RFIDの特徴【バーコードとの比較】
複数タグを一括で読み取り可能
バーコードでは商品のタグをひとつひとつ読み取る必要がありますが、RFIDタグは、RFIDライター・リーダーをかざすだけで一括読み取りができます。
距離の離れたタグも読み取り可能
バーコードは通信距離が非常に短いため、読み取るには商品に近づく必要があります。RFIDはバーコードよりも遠くの場所のタグも読み取れます。高所にあるタグのそばまで人が移動する必要がありません。
隠れたタグも読み取り可能
バーコードは箱を開けてひとつずつスキャンする必要がりますが、RFIDは箱を開けずに非接触での読み取りが可能です。
タグの表面が汚れていても読み取り可能
バーコードはコードに汚れが付着すると読み取りできなくなりますが、RFIDはタグの表面が汚れてしまっても読み取りできます。
RFIDの注意点・デメリット
さまざまな業界やシーンで活躍しているRFID。バーコードと比較して利便性に優れるポイントが多いRFIDですが、以下の点で注意が必要です。
- システムの価格やRFIDリーダーが高価なため、導入コストがかかる
- RFIDタグの費用をはじめ、ランニングコストがかかる
- RFIDタグの取り付けやスキャン・読み取りに手間がかかる
- RFIDタグの読み書きは金属の影響を受けやすい
- RFIDデータは運用の環境により読み取りに失敗することもある
特に導入コストや運用コストがかかりすぎる、という企業の費用に対する懸念は大きく、RFIDの普及率がいまひとつ伸び悩んでいる主な原因となっています。
以上のような注意点を踏まえた上、RFIDシステムで自社の業務効率化が実現できるか、現場の業務内容や予算とマッチしているか、今の人員や体制で使いこなせるかをシステム導入前に十分に検討しましょう。
RFIDの導入事例
では、実際にRFIDサービスを導入することで、業務の効率化を実現している実際の導入事例をいくつかご紹介します。
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製造業メーカー
RFIDタグを台車や梱包箱、工具、パレットなどに取り付け、在庫管理や物品・備品等の資産管理を効率化し人手不足や労力・工程の削減します。
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アパレル・小売
ユニクロ、オンワード、良品計画、シップスなどでもRFIDタグを導入し、レジの無人化、店舗スタッフの省力化、棚卸の効率化などに役立てています。
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スーパー・コンビニ・飲食業
取扱商品にRFIDタグを貼り付けることで、鮮度を見える化しています。賞味期限管理や食品ロス削減などに役立てています。ローソン、セブンイレブンなどコンビニ5社で導入実験済みです。
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図書館
書籍やCDにRFIDタグを貼り付けることで、貸し出し管理などの業務の効率化を図っています。人的コストの削減やセキュリティの向上に役立っています。
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医療
RFIDの技術で、備品、医薬品、患者情報を効率的に管理しています。物品管理の効率化や医療過誤の予防に役立てています。
RFIDの課題を解消するIoT
人手不足や棚卸差異などさまざまな問題に直面している現場では、いかに効率化して正確に在庫管理・自動発注を行うことができるかが重要となります。
IoT機器を導入することにより、在庫管理の自動化や在庫の見える化が可能になり、棚卸、現場作業の改善、在庫管理、発注管理、品質管理なども効率的に行えるようになります。
IoTが蓄積した稼働状況や生産状況、在庫などのデータを分析することで、人力では発見しにくい問題や傾向なども把握できるようになり、生産性の向上やロスタイムの削減につながります。
スキャン不要!「スマートマットクラウド」
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あとはマットが自動でモノの在庫を検知、クラウド上でデータを管理し、適切なタイミングで自動発注してくれます
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