在庫管理術
中小企業のDX推進【製造業における取り組みの課題と解決策を解説】
近年、DX推進に本格的に着手する製造業の中小企業が急増しています。市場競争が激化する製造業において、DX化は中小企業にとって生き残こりに必須の最重要課題となっています。DX化の重要性を理解しながらも、実際に手をつけてみるといくつもの壁に直面し、思うような成果が出せていない中小企業は少なくありません。
そこで今回は中小製造業企業のDX戦略をテーマに、押さえておきたい方向性や取り組みのポイントをご紹介します。
製造業の中小企業におけるDX推進の現状と必要性
経済産業省は、2020年11月にデジタル技術による社会変革を踏まえた経営ビジョンの策定・公表といった経営者に求められる対応を「デジタルガバナンス・コード」としてまとめ、公表しました。その基本的事項に対応する企業を認定する「DX認定制度」で認定された事業者数は約1.5倍、とりわけ中小企業は約2.0倍と認定事業者数が急増しています(2024年10月時点)*。
業種を問わず全体的に取り組み件数が増えていますが、特に情報通信業と製造業での取得率の増加が目立っています。
*経済産業省「DX認定制度(情報処理の促進に関する法律第三十一条に基づく認定制度)」参照
中小企業における製造DX推進の課題
DX推進中の製造業に広がる格差
一方で、製造DX推進に取り組んでいる企業の中で、結果が出ている企業とそうでない企業の差が拡大しつつあるのも確かです。思うような成果が出ていない理由として以下のような課題が上がっています*。
①人材不足 ②経営者のデジタル理解・DXに対するリーダーシップ不足 ③現場の協力不足 ④予算不足 ⑤企業間連携が困難
満足のいく成果を達成するために、課題解決の方法をひとつずつ検討していきましょう。
*経済産業省「DX認定事業者アンケート結果(2024年)」参照
中小企業がDX推進の課題を解消するポイント
人材不足
中小企業に限らず、DX推進の遅れの原因で必ず上がるのがデジタル人材の不足です。特に製造業では、デジタルに精通しているだけでなく、現場の業務内容を深く理解していないと、真の意味でのDX人材の役割が果たせません。
そこで業務に精通している従業員にデジタル教育をしていく方法が主となります。人材の育成には時間がかかりますがベンダーに協力を仰ぎ、ソリューションを実際に使いながら同時並行で進めていきます。
経営者のデジタル理解・DXに対するリーダーシップ不足
製造DXを推進していくには、経営陣がデジタルに対する理解を持ち、主導権をもってX戦略を推し進めていく姿勢が不可欠です。具体的にいうと、
・経営陣が自社が保有するデータを資産価値として認識している
・経営陣自らがデータにもとづいて意思決定をおこなう
という姿勢が求められます。しかし中小企業では経営サイドで人材不足や初期投資の負担等を理由にDX推進を先送りにするケースが後を経ちません。
現場の協力不足
経営層がトップダウンで製造DXの導入を決定しても、現場が抵抗し、DX導入が進まないケースがあります。背景にワークフローの変化そのものが従業員の負担となること、これまでの手法を経営層が否定していると現場に受け止められがちであることが理由として挙げられます。
現場の反発に対する対処法ですが、ていねいかつ地道にコミュニュケーションを取ることが解決の糸口になります。
経営層が今まで手動で業務を遂行してきた現場に敬意を示し、今後はDXを推進する姿勢を表明する必要があります。リーダーシップを持って機会があることに理念を従業員に共有を続けることで、DX推進に対する理解とデータにもとづいて決定をする企業風土が定着します。
予算不足
DXソリューションの導入には設備投資にかかる初期費用に加え、インフラの整備やセキュリティ対策、人材への教育コストが発生します。
まずはコンパクトに始められる部分から着手し、小規模な成功事例をひとつ作って隣接部署に展開するクイックウィン方法を選ぶと、初期投資を押さえつつも着実にDXに着手することができます。
また日本の製造業の世界的な競争力を高める目的で、現在国家主導でさまざま補助金が準備されています。特に中小企業の補助金の選択肢は多く、IT導入補助金、小規模事業者持続化補助金などがあります。自社が補助金受給の要件を満たしていないか、地方自治体の補助金も含め広く確認してみると良いでしょう。
工場に適用される補助金【目的・種類・条件などの公募要綱と補助金活用事例】
この記事では、製造業の工場が活用できる補助金について、おすすめの補助金の種類、補助を受ける条件をわかりやすく解説していきます。
企業間の連携が困難
中小企業には他社に部品の調達や原料を供給する企業が多く、自社独自でDX推進の取り組みがしにくい、取り組んでも効果が現れにくいことがあります。
材料や部品を供給し納品する企業と、顧客である製造企業間でリアルタイムで生産状況や売れ行き、在庫情報を共有するソリューションの導入によって、データに基づいて受注予測を立てることができます。
シンプルでわかりやすい成功事例で弾みをつける
DXは着手することこそが差別化に
製造DXは導入前の試算で、単純に手動からのデジタルに切り替えた費用対効果を計算すると採算が合わないことが大半です。
経営サイド・現場サイド双方のDXに対する消極的な姿勢の根底には導入メリットやDXに対する投資の効果が見えていないという現実があります。
まずシンプルでわかりやすい成功事例を社内で1つ作ることが先決です。小規模なDX化に着手することが、他の中小企業との差別化につながります。
製造DX「スマートマットクラウド」は在庫管理、工程管理、VMI、さまざま場面において、これまで製造業中小企業の課題を解決してきました。
モノの重さからリアルタイム在庫を見える化するというシンプルな仕組みからは、現場の従業員から自発的なアイデアが生まれやすく、社内のDX推進の雰囲気醸造にも貢献します。導入は現場への負担がかからず、スモールスタートも可能。現場力をさらに高め、製造DXを成功へ導きます。
製造DX推進は「スマートマットクラウド」で
製造現場の課題はリアルタイム実在庫を計測することで解消できることがあります。
当社の「スマートマットクラウド」はモノの重さを「スマートマット」で計測、これまで見たくても見ることができなかった実在庫の数を可視化します。
スマートマットの上に管理したいモノを載せるだけで設置が完了。あとはマットが自動でモノの在庫を検知、クラウド上でデータを管理し、適切なタイミングで自動発注します。
欠品を防ぎたい
スマートマットクラウドは24時間、365日、絶え間なく在庫を監視します。部品在庫不足による製造ラインの停止を未然に防ぎます。
直感的に把握しやすいグラフで在庫状況を見える化し、タイムリーな発注をアシスト、現場のカイゼンを促進します。
在庫を減らしたい
「実際の消費量よりも多めの在庫を持っておきたい。」
過剰在庫の原因には欠品への不安が潜んでいます。リアルタイム在庫の可視化で、現場の不安を一掃し、不動期間ごとの在庫金額表示機能で、不要な在庫削減を実現できます。
品質を上げたい
スマートマットに載せるモノ、置く場所のアイデアは無限にあります。使い方によって今までわからなかったモノの流れを可視化。ボトルネックを特定し、製品の品質向上を後押しします。
リードタイムを縮めたい
スマートマットクラウドは発注判断ミスや確認もれ等の人為的ミスの元となる在庫確認、棚卸、発注作業を自動化。システムへの入力作業等の労力負担をかけることなく、納品リードタイムの遅れを未然に防止します。
この記事を監修した人
製造DX協会
製造DXに取り組む製造業・スタートアップ・エキスパートが集結し、企業の垣根を越えてノウハウを共有しながら社会全体に最適な製造DXガイドラインを発信しています。
https://manufacturingdx.org/