在庫管理術
自動車部品の在庫管理【重さによる管理で欠品防止・管理超効率化】
今回は日本の基幹産業である自動車業界にスポットをあてます。想定外の事態にみまわれ、将来の予測が難しい昨今、かんばん方式だけでは管理が行き届かず、欠品や過剰在庫のリスクを抱える在庫が存在します。自動車製造業特有の在庫管理の課題を整理し、その解決方法を紹介します。
戦略的な在庫管理の方法とは
コロナウィルス流行の影響による半導体不足、転じて供給過剰に陥る2024年問題をはじめ、自動車業界は、不確実性が高く将来の予測が困難な状況に置かれています。
自動車メーカーでは主材料をかんばん方式によって徹底して在庫管理してきました。「必要なものを、必要なときに、必要なだけ」をモットーとした在庫管理では、資材の供給が安定しない先行き不透明な状況で生き残れない、とこれまで管理しきれなかった部品も管理しようとする、戦略的な在庫管理を模索する動きが出てきています。
従来のかんばん方式ではカバーしにくい自動車メーカーの在庫の例を挙げ、その解決法を紹介します。
課題①共通部品の補充
自動車業界では、専用の部品のかわりに汎用性の高い共通部品を製品・メーカーの垣根を超えて使用する部品共通化が推進されています。ボルトやナット、ワッシャー、プラグなどの部品が共通部品に該当します。
コスト削減の面では、大きな効果のある部品共通化ですが、複数のラインで同じ部品を消費するため、現在庫の数や消費量が把握しにくく、管理の難易度は高くなります。
具体的には配膳係がライン付近まで足を運び、部品が不足していれば補充を行います。そのため補充が間に合わない、配膳係がムダな移動をすることが常態化している等の課題が発生しています。
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課題②すりあわせ部品の在庫管理
自動車製造部品のうち、ユーザーの好みに合わせて追加される指定部品、寸法に合わせて選択される選択嵌合(かんごう)部品があります。日本製自動車の品質を支えるこれらの部品は、ケースバイケースで使う部品が選択されるため、消費スピードの予測が困難です。
製品の品質に関わる部品が欠品しないよう、頻回で在庫調査を実施したり、各種の在庫を多めに持っておくなどの対応を迫られています。
課題③実入返却
サプライヤーから納品された部品を通い箱から取り出すのを忘れ、未使用のまま返却してしまう実入(みいり)返却は、自動車メーカー共通の課題となっています。
部品欠品による生産の遅れや輸送のムダ、取引企業との関係悪化に直結する実入返却を防ぐには、これまで目視でケースを全数確認するしか方法がなく、マンパワーだけでは完全に防ぐことができていませんでした。
自動車メーカーの課題を解消する「重さ」による管理
こうした自動車メーカ特有の在庫管理の課題はリアルタイム実在庫を計測することで解消できます。
当社の在庫管理システム「スマートマットクラウド」は在庫の重さを「スマートマット」で計測、これまで見たくても見ることができなかった実在庫の数を可視化します。
共通部品の配膳効率化
スマートマットクラウドは中間棚・ラインサイドの在庫状況を、補充緊急度とセットで、補充担当者がいつでも見えるようにします。
中間棚、ラインサイドの現在庫を加味し、配膳係のスマホに通知が届きます。在庫が僅少な在庫をまとめて配膳することも可能です。
在庫状況から部品補充の優先順位が配膳係から一目瞭然となり、ムダや不足のない”適切な補充”を実現します。
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すりあわせ部品の在庫管理効率化
SKUが多い選択部品の在庫確認をスマートマットが自動化します。これまで需要予測が困難だった部品の消費量を可視化&データ化。一気に特定の部品を集中的に使用した場合、アラートが送信されるので、迅速に補充対応できます。
実入返却の防止
通い箱の部品の取り出し忘れはスマートマットがシンプルに解決します。スマートマットの上に空箱を重ねていき、重量を測定します。重量が想定と異なる場合、つまり部品が残っている状況を検知した場合はアラートし、未使用部品の返却を未然に防ぎます。
自動車製造業のカイゼンを助ける在庫管理システム「スマートマットクラウド」
在庫管理システム「スマートマットクラウド」はスマートマットの上に管理したいモノを載せるだけで設置が完了。あとはマットが自動でモノの在庫を検知、クラウド上でデータを管理し、適切なタイミングで自動発注します。
スマートマットによるリアルタイム実在庫管理は自動車メーカーの4つのニーズを叶えます。
欠品を防ぎたい
スマートマットクラウドは24時間、365日、絶え間なく在庫を監視します。部品在庫不足による製造ラインの停止を未然に防ぎます。
直感的に把握しやすいグラフで在庫状況を見える化し、タイムリーな発注をアシスト、現場のカイゼンを促進します。
在庫を減らしたい
「実際の消費量よりも多めの在庫を持っておきたい。」
過剰在庫の原因には欠品への不安が潜んでいます。リアルタイム在庫の可視化で、現場の不安を一掃し、不動期間ごとの在庫金額表示機能で、不要な在庫削減を実現できます。
品質を上げたい
スマートマットに載せるモノ、置く場所のアイデアは無限にあります。使い方によって今までわからなかったモノの流れを可視化。ボトルネックを特定し、製品の品質向上を後押しします。
リードタイムを縮めたい
スマートマットクラウドは発注判断ミスや確認もれ等の人為的ミスの元となる在庫確認、棚卸、発注作業を自動化。システムへの入力作業等の労力負担をかけることなく、納品リードタイムの遅れを未然に防止します。