在庫管理術
歯科医院の棚卸【目的と経営に与える影響・やり方・課題・効率化する歯科DX】
歯科医院の棚卸の目的
歯科医院の棚卸は決算業務の一つであり、12月末などの期末には必ず行う必要があります。
そして、歯科医院の棚卸の目的は、診療・診察に必要な医薬品や医療材料、事務用品などの在庫数を正確に把握することです。
在庫数を正確に把握していなければ、
といった問題が発生し、経営を圧迫する一因にもなりかねません。
この記事では、歯科医院の経営にとって重要な棚卸についてわかりやすく解説していきます。また、歯科医院の棚卸を効率化する今、話題のIoT、歯科DXについてもご紹介!
歯科医院の棚卸が経営に与える影響
歯科医院の売上高は、保険売上と自費売上*を足した金額になります。
この売上高から、変動費(材料代や技工代)を引いた額が粗利*となり、さらに粗利から固定費(家賃や人件費など変動費以外のすべて)を引いた額が利益となります。
つまり、歯科医院の売り上げを上げるには、変動費と固定費をいかに適正に抑えるかが重要です。
棚卸で管理する医薬品や医療材料は変動費となるため、すでに上記の項でお話ししたように、過剰在庫は変動費が抑えられていないということになり、利益の減少につながる=経営悪化に…。
さらに、在庫不足は、適正な診療ができない=患者さんの不満や集客を左右する口コミにも悪影響を及ぼしかねず、ゆくゆくは経営を圧迫しかねません。
*自費売上:保険のきく治療は本人負担額を治療したその日に現金でもらう=「保険売上」。保険のきかない自由診療も治療したその日に全額現金でもらうのが原則=「自費売上」。
*粗利(あらり):売上高から材料費や人件費などの売上原価(コスト)を差し引いた利益。「売上総利益」のこと。
歯科医院の棚卸資産
棚卸資産とは、一般的には「在庫」とも呼ばれ、企業が販売する目的で一時的に保管している商品・製品・原材料・仕掛品の総称です。
歯科医院の棚卸資産とは、患者の治療のために確保している歯科材料や医薬品や未使用の事務用品などの消耗品などのことをいいます。
棚卸資産は、資産の中の流動性資産にあたり、流動性が高い=現金化しやすい資産のことで、歯科医院が保有する資産のうちで主に1年以内に現金として回収される、歯科医院にとっては大切な財産です。
棚卸資産は、決算日時点の財政状態を示す重要な書類=貸借対照表(たいしゃくたいしょうひょう)に計上します。
貸借対照表は、ある一定の時点における企業の財産や負債の状況を示すもので、企業が事業に使う資金をどのように調達し、どのように保有しているかがわかります。
貸借対照表は、歯科医院など個人事業主が、確定申告で最大65万円の青色申告特別控除を受けるために必要な書類です。
歯科医院で棚卸するもの
歯科医院で棚卸する必要がある主なものは以下の通りです。
- 歯科材料
- 衛生材料
- 消耗品
- 医薬品
- 事務用品
- オーラルケア商品
*歯科医院の棚卸では、開封した材料については数えません。
歯科医院の棚卸の方法・やり方
では、実際の歯科医院の現場で棚卸はどのような方法で行われているのでしょうか。
棚卸マニュアルに沿って、決められた時期に専門のスタッフが行うというような方法は多数派ではないようで、中小の歯科医院では主に以下のようなやり方が常態化しているのが現実のようです。
このように、多くの歯科医院では、歯科衛生士や場合によっては院長自らが本来の業務の合間を縫って目視・手書き=人力で行っているようです。
歯科医院の棚卸の課題
上記の項でご紹介したように、歯科医院で棚卸するものは、マスクや手袋、ガーゼなどといった衛生材料や医薬品など取り扱いに注意が必要=神経を使うものが多く含まれています。
また、歯科医院の棚卸ではデジタル化されたマニュアルなどはあまり存在せず、歯科衛生士や院長などが本来の業務の合間や残業などの時間に行なっていることも…。
さらに、下記のように医薬品・歯科材料費と人件費は増加傾向にあります。
2019年 | 2020年 | 前年対比 | |
医薬・歯科材料費 | 5,633 | 5,992 | 106.4% |
人件費合計 | 10,751 | 10,936 | 101.7% |
このような事実を踏まえ、歯科医院の棚卸では以下のような具体的な課題の声が現場からあがっています。
- 目視による数え間違いや記入ミス、入力ミスが発生する
- 取り扱いに注意が必要な衛生材料や消費期限のある医薬品の管理に労力を使う
- 棚卸業務のために働き方改革が進まない
- 歯科医院の慢性的な人手不足による棚卸業務の負担増
- 在庫管理システムやアプリを使いこなせないし、導入運用コストがかかる
次の章では、歯科医院の棚卸業務の課題を劇的に改善するIoTについて解説していきます。
歯科医院の棚卸の課題を解決するIoT
歯科医院は、競合が多いため、経営を効率化するために大きな課題となっているのが、医療資材の在庫管理や棚卸・発注です。
また、人材不足、スタッフが定着しない…といった人材面での課題もあげられています。
そこで注目され、近年続々と各企業で導入されているのが在庫管理・棚卸・発注の自動化であり、その最も有効な方法として以下の2つが大きなキーワードとされています。
●DX(デジタルトランスフォーメーション)
企業の営みや産業全体をデジタルの力でよりよくしていく取り組み
● IoT(Internet of Things)
IoT=「モノのインターネット化」
IoT機器を導入することにより、「自動化」や「見える化」が可能になり、棚卸、現場作業の改善、在庫管理、発注管理、品質管理なども効率的に行えるようになります。
このように稼働状況や生産状況、在庫などのデータを分析することで、人力では発見しにくい問題や傾向なども把握できるようになり、生産性の向上やロスタイムの削減につながります。
デジタルテクノロジーを駆使して、企業経営や業務プロセスそのものを根本的に改善していくDX(デジタルトランスフォーメーション)を実現するためにIoTは欠かせない要素となります。
また、新型コロナウイルス対応などで業務に忙殺されている医療分野や調剤薬局、リモートワークを取り入れたい現場スタッフをサポートすることも大いに期待されています。
次の章では置くだけで在庫の見える化!医薬品標準コード「メディコード」とのデータ連携が可能!今、話題のIoT機器「スマートマットクラウド」をご紹介します。
スマートマットクラウドで発注・在庫管理を自動化
現場のあらゆるモノをIoTで見える化し、発注を自動化するDXソリューション「スマートマットクラウド」を使えば、貴院でも簡単に自動化が可能です。スマートマットの上に管理したいモノを載せるだけで設置が完了。
あとはマットが自動でモノの在庫を検知、クラウド上でデータを管理し、適切なタイミングで自動発注してくれます。
さまざまな自動発注に対応
「スマートマットクラウド」は、メール・FAXに加え、医薬品やディスポーザブル製品の受発注などに広く使われている標準商品コード「メディコード」を使ったAPI連携により、貴院で現在お取引のあるCiモール、FEEDデンタル、P.D.R.オンラインなどの主要ディーラーに対し自動で発注を行うことができます。
スマートマットのサイズは、A6サイズ〜A3サイズまで
- 倉庫室のラック上
- 診療エリア備え付けの棚の中
- 引き出しの中
貴院のスペースや使用状況、導線に合わせた設置が可能です。
次の章では、実際にスマートマットクラウドを導入した歯科医院の導入事例をいくつかご紹介します。
棚卸の課題を解決!スマートマットクラウド導入事例
スマートマットクラウドは、現在多くの歯科医院にご利用いただいています。スマートマットクラウド導入による棚卸効率化の事例をご紹介します。