在庫管理術
か強診とは【認定を受ける基準・2022年施設基準の変更・保険適用範囲・メリットとデメリット・認定の課題を解決するIoT】
か強診とは
か強診とは、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所のことです。
2016年4月の保険改定で、保険の枠組みを一部拡大し、虫歯や歯周病などあらゆる歯科疾患の重症化を予防し、歯の喪失を防ぐため定期的なメンテナンスを行える歯科医院を厚生労働省が評価する新しい制度のこと。
わかりやすく簡単に言うと、か強診とは、地域と密着・連携し、幼児から高齢者まで、各年齢に応じた保険医療・福祉が提供できると国(厚生労働省)が認めた、かかりつけ歯科医が常駐する歯科診療所ということになります。
さらに、2018年度の診療報酬改定では、かかりつけ歯科医療機能をより推進する観点から、歯科疾患の重症化予防に関する継続的管理や地域連携などの実績の評価など、か強診の施設基準の見直しが行われました。
では、そもそもかかりつけ歯科医とは何でしょう?
2017年日本歯科医師会によると、
- 「かかりつけ歯科医とは、安全・安心な歯科医療の提供のみならず医療・介護に係る幅広い知識と見識を備え、地域住民の生涯に亘る口腔機能の維持・向上をめざし、地域医療の一翼を担う者としてその責任を果たすことができる歯科医師をいう。」
と定義されています。
この記事では、か強診が必要な理由や現状、認定基準、認定施設条件、保険適用範囲と点数、メリット、届出の課題をわかりやすく解説していきます。
また、歯科医院の課題を解決し、か強診の認定をサポートする今、話題のIoTについてもご紹介!
か強診が必要な背景や理由は?現状の割合は?
- 3歳児の一人平均う歯*数は、平均2.90本(平成元年)から平均0.39本(令和元年)
う蝕*有病率は、 55.8%(平成元年)から11.9%(令和元年) - 12歳児の一人平均う歯数は、平均4.26本(平成元年)から平均0.69本(令和元年)
う蝕有病率は、 88.3%(平成元年)から31.8%(令和元年)
*う歯(うし):虫歯
*う蝕(うしょく):食べたり飲んだりした糖分を餌にして、口の中にいる細菌が作り出した酸によって、歯質(エナメル質と象牙質)が溶けた状態のこと。
出典:3歳児:平成25年度まで:母子保健課・歯科保健課調べ、平成26年度以降:地域保健・健康増進事業報告、12歳児:学校保健統計調査(文部科学省)
と子どものむし歯は、年々減少しています。
また、平成5年と平成28年の比較によると
2017年日本歯科医師会によると、
- すべての年齢階級で20歯以上有する者の割合は増加しており、平成28年度における80歳で20本以上の歯を残す「8020(ハチマルニイマル)」の達成者は51.2%。
平成元年に厚生省と日本歯科医師会が提唱した、「80歳で20本以上、自分の歯を残し、なんでもよく噛める快適な状態に保とう」という「8020(ハチマルニイマル)」の運動が大きな成果を達成していることがわかります。
最低でも20本以上の機能する歯があれば、大抵の食べ物は噛みくだくことができ、食生活にほぼ満足することができるといわれています。
出典:出典:歯科疾患実態調査(昭和32年より6年ごとに実施、平成23年から5年ごとに実施)
しかし、その一方で、
- 4mm以上の歯周ポケット*を有する者の割合は、平成28年ではほぼすべての年代で増加傾向にあり、特に、高齢者では平成11年から歯周病の罹患率*が増加傾向にある。
出典:歯科疾患実態調査(昭和32年より6年ごとに実施)
*4mm以上の歯周ポケット:歯周ポケットは歯肉と歯との間に深さ約1mmの歯肉溝という溝が深くなった状態のこと。健康な歯肉の場合でも1mmから2mmの溝が存在。4mm以上の歯周ポケットは歯周病の初期段階にあたり、歯磨きの際に出血が見られることがある。
*罹患率(りかんりつ):病気にかかる割合。一定期間中に特定の疾患にかかった患者の、人口に対する比率。
出典:患者調査(厚生労働省)
主な歯科傷病分類別の推計患者数(年齢階級別)を見ると、
しかし、その一方で、
- う蝕症については、推計患者数は減少しているが、65歳以上では増加している。
- 慢性歯周炎及び歯の補てつ*については全体として推計患者数は増加しており、特に65歳以上で増加が著しい。
- という報告もされています。
*歯の補てつ:歯が欠けたりなくなった場合にかぶせものや入れ歯などの人工物で補うこと。
これらの報告をまとめると…。
- 歯科治療の進歩により、幼児の虫歯数は減少し、高齢者の葉の現存数も増えているが、全年齢層において、歯周病や歯のかぶせものや入れ歯などは増加している。
このような背景をもとに、むし歯や歯周病による歯と口腔(口の中)の歯科疾患を予防するために、設けられた制度が、か強診です。
厚生労働省が毎年行っている医療施設調査によると、「歯科口腔外科」を掲げる施設数が増加傾向であるのに対し、単純な「歯科」を掲げる施設数は減少傾向にあることも報告されています。
ただし、2018年4月時点のか強診の届出数は7,031施設であり、全国の歯科診療所の10%にもいたっていません*。
か強診は、どの歯科診療所でも認定されるわけではなく、さまざまな基準が設けられており、それを満たす必要があります。
次の章では、か強診に認定されるための基準を詳しくご紹介!
*出典:厚生労働省かかりつけ歯科医機能の評価
か強診の認定施設基準
平成30年度診療報酬改定において、う蝕や歯周病の重症化予防に関する継続的な管理実績を要件として追加するなどの要件の見直しを行い、か強診の施設基準を以下のように定めています。
・(1) 歯科医師が複数名配置されていること又は歯科医師及び歯科衛生士がそれぞれ1名以上配置されていること。
・(2) 次のいずれにも該当すること(赤字は2022年変更部分)。
ア. 過去1年間に歯周病安定期治療(Ⅰ)又は歯周病安定期治療(Ⅱ)をあわせて30回以上算定していること。
イ. 過去1年間にフッ化物歯面塗布処置又は歯科疾患管理料のエナメル質初期う蝕管理加算をあわせて10回以上算定していること。
ウ. クラウン・ブリッジ維持管理料を算定する旨を届け出ていること。
エ. 歯科点数表の初診料の注1に規定する施設基準を届け出ていること。
(・3) 過去1年間に歯科訪問診療1若しくは歯科訪問診療2の算定回数又は連携する在宅療養支援歯科診療所1若しくは在宅療養支援歯科診療所2に依頼した歯科訪問診療の回数があわせて5回以上であること。
・(4) 過去1年間に診療情報提供料又は診療情報連携共有料をあわせて5回以上算定している実績があること。
・(5) 当該医療機関に、歯科疾患の重症化予防に資する継続管理に関する研修(口腔機能の管理を含むものであること)、高齢者の心身の特性及び緊急時対応等の適切な研修を修了した歯科医師が1名以上在籍していること。なお、既に受講した研修が要件の一部を満たしている場合には、不足する要件を補足する研修を受講することでも差し支えない。
・(6) 診療における偶発症等緊急時に円滑な対応ができるよう、別の保険医療機関との事前の連携体制が確保されていること。ただし、医科歯科併設の診療所にあっては、当該保険医療機関の医科診療科との連携体制が確保されている場合は、この限りではない。
・(7) 当該診療所において歯科訪問診療を行う患者に対し、迅速に歯科訪問診療が可能な歯科医師をあらかじめ指定するとともに、当該担当医名、診療可能日、緊急時の注意事項等について、事前に患者又は家族に対して説明の上、文書により提供していること。
(・8) (5)に掲げる歯科医師が、以下の項目のうち、3つ以上に該当すること。
(赤字は2022年変更部分)
ア. 過去1年間に、居宅療養管理指導を提供した実績があること。
イ. 地域ケア会議に年1回以上出席していること。
ウ. 介護認定審査会の委員の経験を有すること。
エ. 在宅医療に関するサービス担当者会議や病院・介護保険施設等で実施される多職種連携に係る会議等に年1回以上出席していること。
オ. 過去1年間に、栄養サポートチーム等連携加算1又は栄養サポートチーム連携加算2を算定した実績があること。
カ. 在宅医療又は介護に関する研修を受講していること。
キ. 過去1年間に、退院時共同指導料1、退院時共同指導料2、退院前在宅療養指導管理料、在宅患者連携指導料又は在宅患者緊急時等カンファレンス料を算定した実績があること。
ク. 認知症対応力向上研修等、認知症に関する研修を受講していること。
ケ. 自治体が実施する事業に協力していること。
コ. 学校校医等に就任していること。
サ. 過去1年間に、歯科診療特別対応加算又は初診時歯科診療導入加算を算定した実績があること。
シ.福祉型障害児入所施設、医療型障害児入所施設、介護老人福祉施設または介護老人保健施設などにおける定期的な歯科健診に協力していること。
・(9) 歯科用吸引装置等により、歯科ユニット毎に歯の切削や義歯の調整、歯冠補綴物の調整時等に飛散する細かな物質を吸引できる環境を確保していること。
・(10) 患者にとって安心で安全な歯科医療環境の提供を行うにつき次の十分な装置・器具等を有していること。
ア. 自動体外式除細動器(AED)
イ. 経皮的酸素飽和度測定器(パルスオキシメーター)
ウ. 酸素供給装置
エ. 血圧計
オ. 救急蘇生セット
カ. 歯科用吸引装置
なお、自動体外式除細動器(AED)については保有していることがわかる院内掲示を行っていることが望ましい。
出典:歯科医療情報推進機構
2022年か強診の施設基準の変更
上記で赤字で示したように2022年、か強診の施設基準が変更されました。
これまで過去1年間にSPT(Ⅰ)と(Ⅱ)の算定回数が30回以上求められていましたが、一本化されるSPTと歯周病重症化予防治療(P重防)をあわせて30回以上算定していることとされました。
また、11項目のうち3項目以上の該当が求められていた地域における連携体制に係る要件に「福祉型障害児入所施設、医療型障害児入所施設、介護老人福祉施設または介護老人保健施設などにおける定期的な歯科健診に協力していること」が加えられ、選択肢が12項目に増えました。
2つの施設条件
か強診に認定されるには、従来から存在する2つの施設条件「外来環」と「支援診」の基準をクリアしている必要もあります。
・外来環(歯科外来診療環境体制加算)
偶発症や緊急時の対応、および感染症への対策として医療器具・装置の整備などの取り組みを行っている歯科医院を認定する制度。
・支援診(在宅療養支援歯科診療所)
高齢化が進行する中で、医科医療機関や地域包括支援センター等との連携を図り、在宅または介護施設などにおける療養を歯科医療面から支援できる体制を整えた歯科医院を認定する制度。
か強診の保険適用範囲
か強診の認定を受けた歯科診療所では、以下の治療において、保険が適用されます。
- 予防歯科(むし歯の予防)
- 歯周病の管理
- 在宅・訪問ケア
か強診が制定される以前は、上記のような予防を目的とした治療は保険が適用となりませんでしたが、先にご紹介した背景を受けて、予防の必要性が重要視され、保険が適用されるようになりました。
具体的には、「歯のクリーニング」や「フッ素塗布」などの治療も保険が適用されます。
か強診の診療報酬上の評価【点数】
区分 |
かかりつけ歯科医機能 強化型歯科診療所 |
その他 |
エナメル質初期う蝕管理加算 | 260点 | - |
長期管理加算 | 120点 | 100点 |
歯科訪問診療補助加算 | 同一建物居住者以外の場合115点 同一建物居住者の場合50点 |
同一建物居住者以外の場合90点 同一建物居住者の場合30点 |
歯科訪問診療移行加算 | 150点 | 100点 |
在宅患者 訪問口腔リハビリテーション指導管理料 |
右記 +75点 | 10歯未満 350点 10歯以上20歯未満 450点 20歯以上 550点 |
小児在宅患者 訪問口腔リハビリテーション指導管理料 |
右記 +75点 | 450点 |
歯周病安定期治療(Ⅱ) | 10歯未満 380点 10歯以上20歯未満 550点 20歯以上 830点 |
- |
か強診の届出【記入例】
か強診の申請書類は、厚生労働省のサイトにある地方厚生局のサイトよりダウンロードすることができます。
記入例などを紹介しているサイトもあるので、参考にしてみるのも良いかもしれません。
か強診の認定を受けるメリット・デメリット
では、か強診にはどのようなメリットやデメリットがあるのかもチェックしていきましょう。
患者のメリット
- 予防歯科(むし歯の予防)、歯周病の管理、在宅・訪問ケアの治療で保険が適用されるため、希望や症状に合わせた歯科治療がしやすい
- 歯のクリーニングやフッ素塗布が毎月保険適用で受けられるので、症状が重くなる前の予防歯科治療がしやすい
歯科医院のメリット
しかし、その一方で、
- 患者さんの要望に沿った治療がしやすい=満足度アップにつながる
- 患者さんの安心感につながり、かかりつけ歯科医院として選ばれやすくなる
- 設備や医療体制が整っていると認知され、歯科衛生士などスタッフ求人の際にアピールできる
- か強診の診療報酬上の評価【点数】の項目で紹介した通り、診療報酬の加算が算定できるようになる
このように、か強診には患者にとっても、歯科医院側にとっても大きなメリットがあることがわかります。
つまり、逆に考えると、か強診に認定されないと
「安心・満足感のある治療を受けられない」という理由から
- かかりつけ医に選ばれにくい
- ただでさえ不足がちな人材確保のための求人アピールができない
- 診療報酬の加算が算定できない
上記のようなデメリットが起こる恐れがあり、歯科医院の経営にも大きく関わってしまいます。
また、か強診は、国が推進している制度であるため、認定されていない歯科医院は今後、国から受けられるであろう待遇やメリットの恩恵を受けられないという懸念も予想されます。
か強診の認定を受けるための課題
厚生労働省の「かかりつけ医・かかりつけ歯科医に関する評価等の影響及び紹介状なしの大病院受診時の定額負担の導入の実施状況調査」によると、地域包括診療料等の届出をしていない理由の上位には以下のような回答が寄せられています。
- 施設基準の要件を満たせないから
- 他の医療機関への通院状況等、把握しなければならない項目が多く、
医師にとって負担が重いから
これらの課題を解決できれば、「か強診の認定の届出を出したい」という声も聞かれています。
それには、まず現状、
・往診の発生→院内が手薄→在庫管理の負担
・厳しい衛生管理基準→非接触ツールでリスク下げたい
といった歯科医院が多くが抱えている業務課題を解決することから着手する必要があります。
歯科医院の課題をサポートするIoT
歯科医院は、競合が多いため、経営を効率化するために大きな課題となっているのが、医療資材の在庫管理や発注です。
また、人材不足、スタッフが定着しない…といった人材面での課題もあげられています。
そこで注目され、近年続々と各企業で導入されているのが在庫管理・棚卸・発注の自動化であり、その最も有効な方法として以下の2つが大きなキーワードとされています。
●DX(デジタルトランスフォーメーション)
企業の営みや産業全体をデジタルの力でよりよくしていく取り組み
● IoT(Internet of Things)
IoT=「モノのインターネット化」
IoT機器を導入することにより、「自動化」や「見える化」が可能になり、発注・在庫管理の自動化はもちろん、現場作業の改善なども効率的に行えるようになります。
デジタルテクノロジーを駆使して、企業経営や業務プロセスそのものを根本的に改善していくDX(デジタルトランスフォーメーション)を実現するためにIoTは欠かせない要素となります。
次の章では置くだけで在庫の見える化!今、話題のIoT機器「スマートマットクラウド」をご紹介します。
スマートマットクラウドで発注・在庫管理を自動化
現場のあらゆるモノをIoTで見える化し、発注を自動化するDXソリューション「スマートマットクラウド」を使えば、貴院でも簡単に自動化が可能です。スマートマットの上に管理したいモノを載せるだけで設置が完了。
あとはマットが自動でモノの在庫を検知、クラウド上でデータを管理し、適切なタイミングで自動発注してくれます。
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