在庫管理術
DX推進【進め方とポイント、注意点を事例を交えて解説】
DX推進とは【目的と重要性】
DX推進とは、データとデジタル技術を活用しながらビジネスモデルを変革させ、組織の競争力の優位性を高めていく取り組みをいいます。
従来の業務にデジタル技術を導入するだけでは企業のDX化はうまくいかないことが多く、自社の今後の展望を考え、実現のため目標から逆算して戦略を立てることが肝要となります。
この記事では社内DX化に着手する際に知っておきたい、DX推進のプロセスやポイント、注意点を事例を交えて解説します。
DXの進め方【6つのプロセス】
ステップ1.DX推進の目的を決める
長期的なビジョンを明らかにし、DX取り組みの目的を決定します。企業の強みを活かして社会に提供できる価値を公言、つまり将来あるべき理想の姿を明確にして社内で共有します。DX化推進の目的を社内で意見交換し決めるプロセスそのものが、改革につながる画期的なアイデアや具体的な行動に移す原動力を生み出します。
このステップを省略すると、現在の業務をデジタル技術を使って効率化する、デジタルパッチで終わってしまうリスクが高くなります。
ステップ2.DX戦略を策定する
最初に掲げた目標に到達するため、どの部署がいつまでに何をどのようにやるのか逆算思考で具体的に戦略を立てます。DX戦略を策定するときはおよそ3年〜5年のスパンで行動計画とアプローチの仕方を考えます。DX推進企業として中期以上の戦略を立てる場合、社会情勢の変化も十分あり得るため、複数のシナリオを用意しておくことが望ましいです。
ステップ3.DX推進の優先順位を決める
DX戦略の決定後、時間・人材・コストの制限がある中、どの施策から着手するのか優先順位をつけます。このとき投資に対してどれだけの利益を得られるかというROIのみを判断基準に置かず、事業における影響度や施策の難易度も重視して決定をします。
ステップ4.DX人材を確保する
DX施策に必要なDX人材を確保には、社外のスキルがある人に依頼する方法と、社内でDX人材を育成する方法とがあります。後者であるDX人材の社内育成には時間がかかりますが、業務内容を本質的に理解している人が必ず必要になります。自社での人材育成は避けて通ることはできません。
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ステップ5.必要なデジタルサービスに投資を行う
自社のDX化を実現できるデジタルサービスを選び投資を行います。ここでも従来の業務をデジタル化するシステムだけでなく、新しい価値の創造につながるDXサービスにも目を向けます。
ステップ6.PDCAサイクルを回しながらDXを推進する
準備が整ったらDX施策を実行に移します。定期的に振り返りをし、計画の改善を行います。このときに役に立つのがデータです。
DX推進のポイントと注意点
トップダウンとボトムアップの融合
DX化は、トップダウンとボトムアップの両軸で推進します。
トップダウンとは、企業の上層部が意思決定をし、従業員にその実行を指示する管理方式です。具体的には経営者が事あるごとに自分の言葉でDX推進の意思やビジョンを語り、DX推進部を立ち上げ担当者を任命、社内のDX人材育成の環境整備に尽力をします。
経営層がDX推進への姿勢と熱意を示し続けることで、社内にDXを進める雰囲気が醸造されます。実際にDXサービスを使う現場の従業員より活発な議論が派生し、業務に即したアイデアが生まれ、DX推進のスピードが加速していきます
新しい取り組みを企業が後押し(三洋化成工業株式会社)
「まずはやってみる」ことが、社の方針になっています。導入はガジェット系YouTuberの動画でスマートマットを知ったのがきっかけで、それを課長に話したところ「やってみよう」となりました。
経営者によるトップダウンでDXを進める際に押さえるべきことは、トップが示している「目指す姿は何か」や「目的」が北極星のごとく指針となっているかどうかですね。(略)関係者全員が同じ方向、目的に向いている状態にすることが非常に重要です。(ウェビナー「製造業DXの始め方のコツ」より)
スモールステップで開始
DX推進の序盤では、基幹システムの入れ替え等大掛かりなシステムを入れ替えるよりも、既存のシステムと連携できるデジタルサービスの活用がおすすめです。
現場に合ったソリューションを追求(日酸TANAKA株式会社)
半導体管理にICタグを検討しましたが、すべての部品にタグを取り付けることは現実的ではなく、新たなやり方を模索。置くだけで管理できるスマートマットクラウドを選択しました。
クイックウィン的に2、3ヵ月程度で結果が出るようなものを、何かひとつでも、小さくても仕込むこと。これは、やはり組織変革上とか、前向きになる意義として非常に重要だと考えております。(ウェビナー「製造業DXの始め方のコツ」より)
課題を解消できるソリューションを選ぶ
DX推進では、デジタルサービスの導入そのものが目的となっているケースが散見されます。何から手をつけていいか迷う場合は、既存の事業戦略を継続、遂行する上で出ている課題を解消できるサービスを探し、導入します。
在庫管理の省人化を実現(株式会社南紀白浜エアポート)
空港では人的リソースを割いてアナログな在庫管理をしていますが、地方空港では雇用を維持することすら難しく、省人化が急務となっています。提案を聞いた時に、航空業界全体の課題を合理的に解決できるソリューションと感じました。
「DX」は、データをどう活用していくかに有益性が出るかどうかが掛かってきます。データを活用することで新たに改善策が発見される、それが共有されることで一気に生産性が上がる、今まで暗黙知だったものがルール化、見える化される。データから得られるメリットを加味してROIの計算をしないといけないません。(ウェビナー「製造業DXの始め方のコツ」より)
DX化を加速させるツールとは
これからDX推進に取り組む企業は、デジタル人材の確保・育成や企業カルチャーの変革、インフラの整備、改善に必要なデータ収集などやらなければいけないことが山積みです。
在庫管理DX「スマートマットクラウド」は、重さで数を数えるIoTサービスです。現場の在庫管理の負担を減らし、より重要業務へ専念できる環境を整備します。
ネジなどの部品、副資材・仕掛品・粉モノや液体の原材料まで、日々の在庫確認や棚卸・発注まで自動化し、業務効率化をするだけでなく、IoTが自動収集するデータをもとに意思決定がよりしやすくなります。
DX推進ツール「スマートマットクラウド」
スマートマットクラウドの仕組み
IoT重量計「スマートマット」の上に管理したいモノを載せると、自動で24時間365日重量から在庫を記録します。実在庫の記録データはいつでもPCから確認OK。これまで手に入れることができなかった実在庫データをもとに、具体的な改善に着手することができます。
現場の在庫管理課題を解消
棚卸差異、業務負担、管理の属人化、人手不足といった実地棚卸ならではの課題を一掃。在庫管理にかかる時間を大幅に削減し、管理精度を高めることができます。
現場のアイデアを引き出すシンプルなハード
スマートマットの上に置くとモノの推移がわかる、シンプルなハードウェアは、現場の従業員のアイデアを刺激。DXを推進する企業風土醸造に役立ちます。
集めたデータをもとにカイゼン
スマートマットクラウドは在庫ごとに出庫されていない期間を特定して、金額ベースで見える化します。IoTが蓄積するデータが、手動管理では見えなかった在庫状況を可視化。在庫削減アクションの効果測定は在庫金額の推移グラフから確認できます。