長野サービスセンタでは、在庫点検・発注を担当者1名で管理しています。担当者は別の業務と兼任のため、これまで重い負担がかかっていました。
従来の在庫管理、発注方法は、目視で在庫数量を確認、手動で注文書を起票、購買システムへの入力を行なっていました。
毎日保守パーツがある倉庫まで出向いて在庫数量の確認をするのに、約30分。月に10回ほど発生する発注業務では、注文書の作成に1回当り30分、購買システムへ入力するのに1回当り30分と、かなりの時間をとられていました。
在庫管理・発注担当者の異動に伴い発生した引き継ぎが大変だったことが、在庫管理・発注業務の在り方を見直すきっかけとなりました。
また2019年10月に発生した台風19号の際に、災害対応のため、修理用の部品や部材が大量に必要になったことも大きかったです。
強風や河川の氾濫による被害が大きく、急な復旧工事が集中的に発生し、在庫が今いくつあるのか調べて急いで発注を行う作業が増えたことにより、担当者に業務負担が集中しました。
社内的にもDXを推進する流れがあり※、長野サービスセンタでも在庫管理・発注業務を自動化しよう、ということになりました。
DX化の推進に際しては、当時、RFIDも候補にあがりました。しかし、当社で利用している保守パーツは細かい部材も多く、タグを貼り付ける負担を考慮すると、RFIDの導入はあまり現実的とは言えません。
加えて、コスト面で優れていて、導入・運用のハードルが低かったことが、スマートマットクラウドを導入する決め手になりました。
故障の際の修理に使うプラグやスリーブといった細かいパーツが中心です。接続機器やケーブルなど大き目の物品にもスマートマットを使っています。
小さいパーツにはA5サイズのマットを使っていますが、コンパクトなので倉庫だけでなく事務所の棚にも並べて置けていますね。
在庫点検から発注、システム入力までにかかる時間を月間20時間と大きく削減できました。在庫数量の自動把握に加え、RPA連携を通じ発注業務を自動化できたことが効果としては大きいです。
発注自動化の方法としてはRPAでのデータ自動取込みを推進しています。定期的にRPAを使ってスマートマットクラウドから在庫情報をCSV形式で自動ダウンロード、その情報から在庫が減っているものをピックアップして購買システムへ取り込めるようにしました。
発注点を下回ったものは、あらかじめ決めておいた数量で自動で発注される仕組みとなっています。
スマートマットクラウドを使った過剰在庫を防止する取り組みも進めています。従来は発注数量を、属人的かつ経験に基づき決めていた部分がありました。
スマートマットクラウドから在庫の消費データをエクセル形式で抽出できるので、解析ツールを使って適正在庫量を計算。欠品させることなく過剰在庫に陥らない数量で注文を出すことで、在庫量の適正化を目指しています。
定量的な効果にとどまらず、在庫点検や発注業務自体を引き継ぎしやすく誰でも在庫管理が簡単にできることも、スマートマットクラウド導入のメリットと感じています。
私自身も前任者から引き継ぎを受け、実際に運用サポートを行いましたが、管理画面を見れば、どの物品が今どれだけあるか、どのマットで何を管理しているか、閾値※がいくつに設定されているのかが即座に分かりますからね。
また、同エリアの他拠点にスマートマットを導入し、遠隔で在庫管理を行っています。その都度、他の拠点に赴くことなく、遠隔で一括で管理できるのも大きなメリットです。
センタ内の反応もよく、
「在庫点検のたびに移動に10分かかる倉庫に出向かなくてよくなり楽になった」
「導入・運用に際し物品の整理を通じて定置管理が進んだので、どこに何があるか分かるようになった」
という声が上がっています。
※NTT東日本 板橋サービスセンタさまの事例はこちら
※閾値:その数量を下回れば発注する、あらかじめ定めた在庫水準。発注点。