我々は、産業用水処理の総合エンジニアリング企業です。
生産性向上や環境負荷低減といったお客様のニーズに応えるため、水処理薬品、水処理装置、メンテナンスの3つを軸に、長年の現場接点で培ってきた技術、製品、サービスを駆使した多様なソリューションを提供しています。
KIHへの移転が、導入の大きなきっかけです。KIHでは、先進性のある取り組みで水と環境に関わる課題を解決するための研究開発やイノベーションの創出に取り組んでいます。
KIHの移転にあたっては、施設運営にかかる省力化・省人化、特に、研究用の資材や頻繁に使用する備品などの在庫管理を課題と捉えていました。従来は「人が数を数える」というアナログな方法で管理したものを、省力化・省人化するには何か手段はないか、と考えていました。
「社内外の多様な人々が集い、つながる、技術革新・社会変革の中心地(ハブ)」
をコンセプトとしたKurita Innovation Hub
展示会ですね。御社のブースに小さいマットから大きなマットまでさまざまなサイズのものが展示されているのを見て、なんだろうなと思ったのが最初です。「在庫管理」という文字を見て、気になったのでブースに入って説明をお聞きしました。
電源工事が必要なく電池で使えるということ、設置場所に特に制約がないということが、大変魅力的でした。さらに、小さいものから大きなものまで幅広く対応ができる、という点も我々と親和性があると感じました。導入のイメージが具体的に見えたということがすごく大きいですね。
展示会の時から「導入したい」と考えていました。具体的にどの資材や備品をマットで管理するかということもイメージできていましたので、あとは社内をどうやって説得するか、ということだけでした。
社内には、私より少し先にスマートマットクラウドを知っているメンバーがおりまして、偶然研究所移転プロジェクトにも関与していました。このメンバーがものすごくデジタルに精通しており、導入の後押しをしてくれたことも大きかったと思います。
研究所では薬品をたくさん使います。約2,000種類、瓶などの本数で言うと数千本の薬品があります。スマートマットクラウドは、研究員が共通して使う薬品の残量管理に活用しています。
以前の研究所では各自がそれぞれの実験室で薬品を所持、管理していました。そのため大量に在庫を抱えておく必要があり、その中にはもう使わずに廃棄されるものがあったり、異動や組織改編により所有者がわからなくなってしまったものなど、無駄やリスクが発生していました。
コスト的にも非常にロスが出ていると感じていましたので、そういうところをまずは改善していきたかったですね。
KIHでは薬品保管室で集約・管理をすることとし、共用薬品もそこに設置することにしましたが、今度は「誰が薬品の量を管理するのか」「補充は誰がするのか」という課題が発生しました。スマートマットクラウドなら、これらの課題もすべて解決できるのではないか、と考えました。
メインの研究棟の4フロアに5か所の薬品保管室、また、別棟の建物にも1か所の薬品保管室があります。それぞれに共用薬品を設置したものの、計6か所ある薬品保管室を人が回って管理をしていくには大変な労力が必要になるので、そこを自動化できるということは非常に良いと思いました。
どの建物のフロアにどの薬品があるのか、を人が実際に回って確認すると、移動だけでもけっこうな時間がかかります。階段の上り下りもそうですし、慣れていないと迷ってしまったり…。
また、それぞれの薬品保管室には5~7種類の共用薬品が置いてあり、それぞれダンボールに入って中身が見えないので、いちいちダンボールを開けて残量確認するという手間もかかっていました。急な残量変動に対応するために朝夕2回の確認が必要と考えると、残量確認の手間が移動時間を含め1日3時間ぐらいかかると思います。スマートマットクラウド導入後は、その労力がゼロになりました。これは大きなメリットです。
ダンボールに入って中身が見えない薬品たちも、スマートマットクラウドなら自動で計測
やはり一番は管理が自動化され、人手が一切かからなくなったことです。また、在庫が切れることがほとんどなくなったことも大きいですね。
以前は、大量に使ってしまい欠品してしまったことが何度かありましたが、今はスマートマットクラウドがある程度余裕のある段階で自動発注してくれます。そのため使いたい時に薬品がない、という状況が発生しにくくなっています。
また、以前は研究者が在庫管理や発注業務に追われていましたが、今はスマートマットクラウドがやってくれます。研究者が本来の自分の仕事の手を止める必要がなくなりました。
仕事にしっかりと労力を注ぐことができるようになった点は、労力削減という効果だけではなく、会社として価値のある効果です。これがスマートマットクラウドを継続利用させていただいている大きな理由ですね。
在庫管理・発注業務の手間がなくなり、研究者たちが本来の自分の仕事に専念できるようになった
在庫量が多く品目も多種にわたっている研究資材も、今後はスマートマットクラウドで管理していきたいと考えています。
また、私が関係している業務のひとつにクリーンルームがあります。そこには研究資材がたくさんありますが、今はそこで研究をしている人が、自分の業務の合間に管理をしています。
クリーンルームの中は汚染させてはいけないので、中に入るには着替えたり、消毒したりという手間がかかってしまいます。そのため、クリーンルームの中にいる研究者が管理せざるを得ないので、本来やるべき研究、分析などの業務を阻害してしまっています。
スマートマットクラウドは、Wi-Fiが飛んでいる場所なら設置可能で、電源も不要。大幅な工事の必要もありませんし、環境を汚染させる心配もないので、ここもなるべく早くスマートマットクラウドを導入したいと思います。
そうですね、まずは日経ニューオフィス賞へ応募したいきさつをお話します。
KIHをつくった理由のひとつが「オープンイノベーション。いろいろな研究機関や企業と協業していきたい」ということなんです。我々が関わる水や環境の事業領域だけではなく、もっと幅広い協業も必要になってくるだろうと思っています。
日経ニューオフィス賞などを受賞している、ということは外に名前を売るひとつのきっかけになり得るので、是が非でもこの賞は取りたいとかねてから思っていました。実際、受賞をきっかけに見学に来てくださるお客さまもいらっしゃいます。
日経ニューオフィス賞を申請する書類に、スマートマットクラウドのことも書かせていただきました。導入するにあたって、IoTやDXなど、どういうものを検討したか、導入したのか、という点も審査の項目にあるんですよね。授賞理由の詳細はうかがえなかったものの、私としては、スマートマットクラウドの導入がこの賞を受賞できた理由のひとつになったと思っています。
*日経ニューオフィス賞:1988年「ニューオフィスづくりの普及・促進を図ること」を目的に、「創意と工夫を凝らしたオフィスを表彰する」という趣旨で創設。 主催は 日本経済新聞社と一般社団法人ニューオフィス推進協会(NOPA)。後援は経済産業省と日本商工会議所。