消費スピードの予測が困難な部品在庫数をリアルタイムで把握。管理人件費削減により従来の1.5倍の費用対効果と若手の従業員体験向上を同時に実現
株式会社SUBARU
社名 | 株式会社SUBARU |
業種 | 自動車 |
課題 |
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効果 |
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- ・車の生産で消費スピード予測が困難な部品があり、計画と実際の使用数にブレが生じていた
・部品の緊急手配をなくすため、毎日若手社員が1.5hの工数をかけ数を確認し発注していた
- ・70種類におよぶバランスウェイトの検数を完全に自動化し、従来の1.5倍の費用対効果を出せるようになった
今回お話を伺ったのは、株式会社SUBARU様。自動車と航空宇宙を主力事業として展開する重工機械メーカーです。
モノづくり本部生産管理部上運天様、中村様、渡邉様、河野様にスマートマットクラウド導入の経緯や効果について教えていただきました。
会社概要についてご紹介ください
SUBARUには大きく2つ、自動車部門と航空宇宙部門があります。自動車部門では乗用車の生産、航空宇宙部門ではヘリコプターや航空機の開発・整備、旅客機の中央翼と呼ばれる部材の生産をしております。
ここ群馬製作所は国内唯一の自動車生産拠点で、車両の組立をする本工場・矢島工場、エンジン・トランスミッションを製造する大泉工場があります。具体的にはレヴォーグ、インプレッサなど計8車種(他社へのOEM供給車含む)の車を生産しています。
車両の生産フローを簡単に説明すると、まずプレス工程でお取引先様から納入されたコイル材と呼ばれる金属の鉄板をプレスしパーツを作ります。それからボディ工程で溶接して車の形に仕上げ、ペイント工程で塗装します。最後にトリム工程で、ハンドルや椅子などいろんな部品を取りつけ、最後に検査をして出荷する、そういった流れになっています。
ご担当の業務内容について教えてください
我々の部門では工場で使用する、車の内外装品をメインで管理しています。今回、タイヤバランスを調整する「バランスウェイト」という部品の管理を目的としてスマートマットクラウドを70台導入しました。
部品管理について、どのような課題があったのでしょうか
消費スピード予測がしにくい部品の管理に大きな工数を割いていた
弊社では車両を作るための生産計画はしっかり作り込まれていて、社内で共有されています。
しかし中にはどうしても消費スピードが予測できず、「これだけ使うだろう」という見込みで発注をかけている部品があります。タイヤのホイールの内側に取りつけるおもり「バランスウェイト」という部品も、事前に使用数が確定できない部品で、毎日在庫を検数する必要がありました。
微妙なバランスを整えるため、ホイール1本1本に最適なウェイトを選び取りつけている。
これまで70種類にものぼるバランスウェイトを毎日手作業で数えていた。
実際、予測していた消費量よりも多く在庫を使用することがあり、生産ライン間での在庫の貸借や緊急の発注を行うことがありました。このことから、これまでずっとバランスウェイトの管理をどうにかしたいと思いつつ、具体的な解決策が見つかっていませんでした。
バランスウェイトの在庫確認にどれぐらいの時間がかかっていましたか
スマートマットクラウド導入前は毎日発注まで、およそ1時間から1時間半程度の時間がかかっていました。
上記の課題解決のため、工夫されていたことはありますか
生産ラインには複数の種類の車を流します。月によってその比率が変わり、比率が変わると使う部品も変わってきます。そこを加味し、部品の需要予測に加える試みは現在も続けています。
導入決定に至ったプロセスについてお聞かせください
導入のしやすさと他社での実績が導入の決め手に
まず担当者ベースでカイゼンに役立つシステムの目星をつけた上で、直属の上司に相談します。カイゼンの見込みがありそうということであれば、その費用対効果を検証しつつ予算を立て、予算を取りまとめている部署に承認をもらって実行するといったイメージになります。
別のソリューションの導入は検討されましたか
スマートマットクラウドと同様の重量で在庫管理を行う他社システムも候補にあがり、比較検討しました。そのシステムは有線で接続する必要があり棚への制約が課題となりそうだったので、スマートマットクラウドを選びました。
スマートマットクラウドの導入の決め手を教えてください
重量で検知するという仕組みと簡易性です。スマートマット単体で管理が完結できるという導入のしやすさに加え、他社でも使われているという実績があったため、社内での検討はスムーズに短期間で進みました。
導入の効果について教えてください。
従来の1.5倍の費用対効果を実現
導入後、バランスウェイトを毎日手作業で数えることがなくなりました。
スマートマットを活用し70種類のバランスウェイトの在庫をリアルタイムで監視
スマートマットクラウドについては、年間244日、1日1.5時間の作業時間削減で、費用対効果は約1.5倍という試算にもとづき、初回導入70台という数字を決定しました。半年運用し、ほぼ期待通りの費用対効果が出ています。
部品の発注が漏れてしまうと、在庫がなくなり、部品の取り付けができず、製造ラインへの影響に繋がってしまいます。今回の導入により、そうした欠品への懸念も解消できました。
若手社員の従業員体験向上に寄与
バランスウェイトの在庫確認は生産管理部の若手社員が担当していた
バランスウェイトの在庫管理は基本的には、経験年数の少ない社員の業務としています。実際に在庫を数えるので、自分の出した発注が適正だったのか目で確認でき、経験値になっていた部分はありました。
在庫を数えに行っていた時は数え間違えることもあり、再度数えに行くことで再び工数がかかっていました。
スマートマットクラウドを導入したことによって、部品を数えることは人がやらなければいけない作業ではなくなり、毎日検数に費やしていた時間を別の在庫管理の業務にあてることができるようになりました。
スマートマットクラウドの今後の展望について教えてください
RPAを介した購買システム連携で発注を自動化
バランスウェイト管理の「検数」という大元の部分が自動化できました。今後はRPAを介して購買システムに連携し、発注の自動化を進めていく予定です。部門内でRPAについて勉強を進め、来年夏を目途に自動発注の実現につなげたいと考えています。
在庫の異常検知や液体管理にもスマートマットクラウドを活用
バランスウェイトに限らず、今後は液体管理や在庫の異常検知にもスマートマットクラウドを使っていきたいと考え、カスタマーサクセスの担当者に相談をしています。
弊社からいろいろ要望を出していますが、こまめに連絡いただき、適宜資料も共有していただいています。要望や提案に対して丁寧に回答いただけるため、システム活用の幅が広がり、大変助かっています。
導入後もカスタマーサクセス担当者や開発担当者が要望をヒアリングし業務改善をサポート
部品管理カイゼン事例として報告し他部門からも反響あり、管理部材拡大も視野に
SUBARUでは全社的にカイゼンに力を入れていて、各部門で「TPM活動」として取り組み、それを年1回、改善事例として発表しています。
スマートマットクラウドの導入について、今年秋に群馬製作所の事例として、他部門へ報告しました。部品は、ひとつでも欠けてしまうと車は完成しません。他部門でも部材・部品管理の業務はあるので、スマートマットクラウドのサイトのURLを共有し、活用を勧めています。
スマートマットクラウドを他社にすすめるなら、どんなポイントでしょうか?
仕様・操作がシンプルで、すぐに使えるところが大きなメリットだと思います。
操作のレクチャーを30分から1時間ほど受けましたが、すぐに理解でき、自分たちで設置もできました。
設置も、スマートマットを置くだけでよかったので簡単でした。大掛かりな工事を必要とせず導入が完結するのは、大きなポイントです。
スマートマットクラウドに期待することがありましたら教えてください
生産ラインをまたがって管理・運搬している在庫があり、生産ライン間を運搬するときに余計な移動が発生しない最適ルートをスマートマットが自動で提案できると、より業務効率化につながると思います。
株式会社SUBARU|スマートマットクラウド導入の概要
- 導入目的
消費スピード予測が難しい部品の在庫管理
- 設置場所
群馬製作所工場内製造ライン付近
- 管理商材
バランスウェイト