松阪興産株式会社は事業部制になっておりまして、骨材事業本部、コンクリート二次製品事業本部、建設事業部、農業事業部、システム事業部などがあります。他には、金網を製造・販売している松阪メタル株式会社や、三重総合試験センター株式会社という土木関係の試験をしている子会社もあります。我々の楠工場はコンクリート二次製品事業本部に所属しており、土木製品と建築製品の2種類を主に作っています
楠工場はオーダーメイドで作る製品が多く、それに使用する材料や資材関係、付属品なども非常に種類が多いです。実際にそれらを管理していく中で、カウント漏れや使い間違いなどが多く、棚卸の精度としては非常に問題があったというのが一点目の課題でした。
二点目の課題は、棚卸をする時間と労務の負担が大きかった点です。
在庫管理に対してそのような課題を抱えていた中で、社内でDXに関する推進委員会が立ち上がり、楠工場の代表として我々が選ばれました。そして情報収集のために行った展示会で紹介を受け、スマートマットクラウドを知りました。
私は展示会で見た時にはもう決めていました。絶対に自社の課題に合致するソリューションだと感じましたので。実は、部材を量りに載せて数えるという作業自体は、その時既に社内でしておりました。
実際に量りの上に載せ、計算をして、棚卸伝票に起こすという一連の作業を、数十回繰り返して行っていたのですが、スマートマットクラウドならそれが一瞬で終わるという点が魅力的でしたね。
また、棚卸作業による時間と労務の負担だけではなく、棚卸によって製造作業が削られているという側面にも効果を発揮できると想定して導入を決めました。
導入以前は手動で重さをはかり、残数を計算して棚卸伝票を起こして管理していた部品たち。
スマートマットクラウド導入と同時に、タブレット入力での棚卸も社内で導入されました。導入前と比較して、半期ごとの棚卸にかかる日数を、1日近く削減することができました。
スマートマットクラウドで管理している原材料については、月1で棚卸もやっていますので、そちらも導入前より30%程作業が減りました。
また、スマートマットを設置する際に色々工夫をしたり、ルールを決めたりしたことで、結果的に倉庫が綺麗になり、倉庫内での作業も非常に効率よくできるようになりました。
倉庫内にスマートマットを設置していることをみんなが認識しているので、自然と在庫管理に対する意識も高まりました。
一つ目のポイントは、導入場所を資材倉庫限定にしたことです。場所が一箇所だけなので、負担も少ないし、「ここはスマートマットクラウドで管理している場所」とみんなが理解しやすく、レイアウトも効率よく変えることができました。点在してバラバラに設置しているとルールが難しくなります。
二つ目のポイントは、各作業の代表者だけが資材倉庫に立ち入れるように限定したことです。代表者にだけルールを周知すれば良かったので、ルールの周知もやりやすくなりました。資材倉庫に立ち入ることができる代表者以外では、残念ながらスマートマットクラウドを理解してない人も多いかもしれませんが、そういう人たちも実際に棚卸はやらなくてもよくなったので、その価値を実感しているはずです。
作業や負担が新たに増えるわけではなく、むしろ減るほうが多かったので、現場からの反発や抵抗みたいなものはありませんでしたね。
効率良く作業できるようにレイアウトに工夫を重ねている資材倉庫
三つ目のポイントは、他の人にも話を小出しにしてスマートマットクラウドの情報共有をするようにしていました。周囲に何も言わず、自分たちだけで導入から運用まで全部やることもできるのですが、それだと誰にも受け入れてもらえないので、普段の会話の中で話を出して気にかけてもらえるような流れを意識的に作っていました。自分も配置替えで他の工場に異動することもあり得ますし、他社さんの事例で担当を引き継いだ人の熱量が小さいと上手くいかなくなるという話も営業担当の方から聞いていましたので、そういうのも考えて、なるべく他の人には情報共有をするように話をしていました。
うちがCSVで取り込む情報は商品コード、数量、伝票ナンバー、工場コードの4つです。ビュー設定でその4つだけが出るようにしてCSVダウンロードし、棚卸の数量として社内の基幹システムに取り込んでます。
半期ごとの棚卸については読み込んだCSVのデータと理論値に差異があるか確認し、差異があるものに関しては、一覧でどれだけ差異があるのか出てきます。再度チェックをかけて、実棚が間違っているのか、日々の入力が間違っているのか確認していますね。そのための実棚数字として活用しています。
まずはスマートマットに載せる在庫の種類を増やしたいです。それともう一つは、社内で自動発注まで実現させたいです。そのためには自動発注ができるものとできないものの仕分けを進めないといけないのですが、先ほどもお話したように、楠工場はオーダーメイドで作る製品が多く、材料も使う量が変わったり、作る量も常に一定ではないので、その采配が難しいです。なので、今まで蓄積されてきた消費データを分析することによって、最低在庫量が大体見えてくると、その在庫は自動発注ができるのかというのが分かってくるかと思っております。最低在庫量が見えることで、持ちすぎている在庫に気付き、在庫の圧縮にも繋がると良いです。
スマートマットクラウドはどこでも使えると私は思っているので、今後もっと松阪興産内の他工場に横展開していき、費用対効果を高めていきたいです。