当社はトッパン・フォームズ株式会社の100%子会社で、配送伝票や専用伝票、明細書、振込用紙、注文書、生産指示書、納品書など各種一般帳票をはじめとしたビジネスフォーム(BF)の製造、ならびにお客さまに代わって請求書・明細書・商品案内・ダイレクトメールなどの各種通知物を印刷・データ印字から加工・発送まで、ハイセキュリティな環境下で一貫して製造するデータ・プリント・サービス(DPS)、ICカードなどの製造・販売を行っています。
当社では、数年前に城東センターへ移転したことに合わせて新たな倉庫管理システム(WMS)を導入し、在庫管理はそのシステムをメインに行ってきました。管理品は、BFやDPSでの印刷に必要となる紙が主になります。
しかし、倉庫から生産現場への管理品の移動は、紙の伝票を使用し、現場から倉庫に「これを出して欲しい」…という具合に、〝必要事項を手書き〟、かつシステムに手入力で行っていたというのが実情でした。
当社の事業モデルは受注生産になりますので、出し入れする管理品はお客さまごとに異なります。お客さまから発注頂くオーダー情報に応じて、きめ細やかな数量管理を行いつつ、出し入れをする必要があります。
紙に手書きの在庫点検・記帳作業では、スタッフによっては記帳漏れや記帳ミスが発生するなど、正確性に欠けることがあり、管理をデジタル化したいという業務課題がありました。
また、スタッフが手書きで伝票を書く作業や伝票を受け取るスタッフの読み取り・入力作業が業務負担として発生します。
全体を通してみると、こういった作業にかかる時間だけでも月に約20時間くらい。記帳ミスや記帳漏れも考慮すると、この労力はやはり無駄であり、会社全体にとっては生産性を損ねる状況でした。
冒頭でお話ししたように、紙に手書きの在庫点検・管理プロセスに起因する人的ミスや労力を削減し、在庫管理のDX化を推進したい、というのが一番の目標でした。
その過程で、倉庫とのやり取りを中心にした業務のDX化を検討していた矢先に、センター長がスマートマットクラウドの情報を入手したのが導入のきっかけです。
バーコードやICタグ、QRコードは自社で製造しているものに付けるのは簡単な方法ですが、お客さまから頂いたものに付けるには時間がかかる、お客さまとの調整が必要になる…そういった手間や労力を考えると、RFIDやバーコード、ハンディターミナル といった他のソリューションは比較検討しませんでした。
当社城東センターの製造現場で利用しています。管理品の在庫スペースにある数千点のうち、約600品目をスマートマットクラウドで集中管理しています。
具体的には、帳票類、紙類、レター類などの紙製品や資材になります。
それらをスマートマットクラウドの上に乗せて、1日4回、在庫数量の定期計測を行い、残数を自動計測・データ保存をしています。併せて、発注点の閾値*との突合せを行うことで、補充が必要かどうか生産管理システムとRPAで連携を行って対応しています。
スマートマットクラウド管理画面
注*閾値(しきいち):発注点。スマートマットクラウドは、残量一覧ダイジェストメール(1日1回)や閾値(しきいち)到達時の通知、発注通知などを受け取ることができ、管理画面にアクセスしなくても在庫数量の把握が容易に可能です。
注*RPA:Robotic Process Automationの略でソフトウェアロボットによる業務プロセスの自動化のこと。具体的には、データの入力などの単純作業を自動化してくれるツール。スマートマットクラウドではAPIやCSV情報の提供が可能で、多くの生産管理システムや購買システムとの連携実績があります。
まず単純な業務時間の削減で考えると、製造現場の業務負担は月に24時間くらい、倉庫側の業務負担もそれに付随して月に10~15時間くらい削減できています。
単純に製造現場側・倉庫側で約40時間もの労力を削減できたというだけではなく、その削減できた時間を、より付加価値の高い製造・企画業務という〝本来の業務にあてることができるようになった〟という点は導入意義としては大きいと実感しています。
これまでは100%手書き、倉庫でスタッフが手書き伝票を受領し、システムに手人力していたので、入力確認の手間を含めて効率化できました。
現場スタッフからは「紙伝票への記載自体がなくなり業務がラクになった」「記入間違いがなくなった」「ミスややり取りがなくなり、やり直しの手間もなくなった」というというポジティブな反応を聞いています。
お客さまから必要資材を受給頂き、それを印刷に利用している関係もあり、一部のお客さまからは「受給資材の消費量を可視化してほしい」というご指摘をいただくこともあります。
スマートマットクラウドを活用することで、その消費に関し見える化を促進すると共に、仮に消費量が通常のトレンドと異なる場合には、早期に問題点を発見できるのでは、という点にも期待しています。
また、消費トレンドの分析を通じて、いわゆる「死蔵在庫」や「余剰在庫」の早期特定にも寄与すると考えています。早期特定を通じて、在庫スペースに置いてあるだけで使っていない商材の洗い出しを行い、余剰スペースの削減などにも上手く活用できるのではないかとも期待しています。