諸田さま:
NTTフィールドテクノはNTT西日本のグループ会社です。私たち静岡設備部は、NTTの保有する電気通信設備の保守や運用、構築を担当しています。
フレッツ光や一般加入電話などのサービスを安全・安心にご利用いただくための保守が主な業務です。
さらに、法人ユーザー向けのオフィスICT環境の構築やメンテナンスも行っています。地域密着型で、現場に近い位置からサービスを提供しているのが特徴です。
通信設備の修理に使う小さな部品、いわゆる「工材品」を手作業で管理していました。担当者が倉庫に行って在庫を数え、紙に書いてシステムへ入力するという方法です。
修理担当者が現場に持ち出すたびに報告するルールはありましたが、徹底されていない場合もありました。結果として、いざ使いたいときに不足していたり、入力ミスで在庫数が合わなかったりといった問題が起きていました。
在庫がないとお客さまへの対応が遅れたり、担当者に大きな負担がかかったりするだけでなく、最終的にお客さまの修理ができない事象が発生するリスクがありました。
アナログ管理から抜け出せず、いろいろ試してもなかなか定着しなかったのが課題です。
導入前は手作業で数えていた「工材品」たち。アナログ管理により、入力ミスや数え違いが発生しやすかった
必要なときに「在庫がない」と言われることが一番困る状態でした。
週に1回ほど倉庫で在庫を確認していましたが、在庫がゼロになってから発注すると届くまで日数がかかるので、その間は在庫ゼロの状態が続きます。この点が最も神経を使うことが多かったです。
倉庫内には細かい部品がたくさんあり、すべて手で数えるのに1~2時間、システム入力など後処理含めると合計3時間かかることもありました。作業頻度としては週1回程度ですが、月トータルにするとかなりの時間になっていたと思います。
また、欠品を防ぐために在庫を多めに発注して、過剰在庫になることもありました。感覚的に「よく使う部品だから多めに頼もう」というケースです。その結果、在庫を抱えすぎてしまったということですね。
週1回の在庫確認では、すべて手で数えるのに1~2時間、システム入力など後処理含めると合計3時間かかることも
NTT西日本として静岡は東日本に近い地域でもあり、長野や山梨と災害協定などでつながっています。
その関係で長野支店と交流会をした際、長野支店が在庫管理でスマートマットクラウドを導入していると知り、「これは良いのでは」と興味を持ちました。
特にありませんでした。アナログ管理からの脱却方法を探していて、長野支店からスマートマットクラウドの存在を聞いた時点で「これだ」という感触が強かったです。
RFIDなども一部で話に出ましたが、当社で管理したい細かい部品や工材品の運用には合わないと感じました。
まず、自分で倉庫に行って1つ1つ数える手間がなくなる点です。それが非常に魅力的でした。マット自体は大きな装置ではないので、既存の倉庫レイアウトを大きく変えずに導入できる手軽さも決め手でした。
静岡支店の上長や支店長にも報告したところ、「ぜひやろう」という後押しを受け、導入が決まりました。
スマートマットを在庫の下に置くだけで導入できるので、既存の倉庫レイアウトを大きく変えずに導入が可能
修理現場で使う小さな部品です。コネクタ類などが中心で、「工材品」と呼んでいるアイテムですね。
諸田さま:
在庫確認と発注までにかかる時間が大幅に短縮しました。
スマートマットの在庫データをクラウドで確認できるようになっただけでもそれが数分の作業に減り、最終的にはRPAで発注処理も自動化し、在庫確認から発注までトータル15分程度で済むようになりました。
また、欠品リスクがほぼゼロになったのも大きいです。必要数量が少なくなった時点で通知が来るため、適切なタイミングで発注できます。
アナログ管理時代の「◯個減ったら担当者へ報告」「伝票の書き方」といった細かいルールが不要になり、修理担当者は必要なものを持ち出すだけ、管理者はクラウドで在庫を確認するだけで済みます。肉体的・精神的な負担も大きく減りました。
小谷さま:
最初はマット上のケースが滑りやすかったり、設定した数との差異が出たりすることがありました。そこを工夫してからは在庫数が正確に把握でき、メール通知などですぐ不足がわかるようになりました。とても助かっています。
市川さま:
持ち出して報告し忘れるなどのヒューマンエラーが減りました。必要なタイミングで必ず在庫がある状態を維持できるのは大きいですね。
静岡の社内共有会で発表し、取り組み事例として上位評価をいただきました。営業担当から「法人ユーザーにも提案できそう」といった声も出ました。
また、本社のDXキャンパスという取り組みに応募して、サポートを受けながら発注部分のRPA化も完成させました。最終的に本社の幹部にも報告する機会があり、良い評価をいただいています。
すでに在庫管理と発注の自動化ができるようになり、運用も安定しています。今後はデータ蓄積により適正在庫を算出し、コスト管理に活かせる可能性があります。過剰在庫を減らし、より効率的に部品を回せるようになると期待しています。
また、本社への報告を通して、全国に横展開していければいいと思っています。三重の拠点からも相談があり、3月に導入する話が進んでいます。さらに協力会社の倉庫管理にも応用できないか検討していきたいですね。
諸田さま:
現状、「工材品」の在庫管理には十分役立っています。
もし可能なら、測定器など共用品等の「持ち出し管理」にも応用できると便利だと思います。誰が何時に持ち出したかまでわかると良いのですが、重量管理の範囲で工夫すれば「一つしかないものが消えたまま戻っていない」などの把握には使えそうです。
そこは今後もう少し研究したいです。細かい要望など具体的に思いついたらまたご相談させていただきます。