頌徳会グループでは、医療と介護を行なっています。医療ではこちらの日野病院と日野クリニック、介護では、介護老人保健施設 ソルヴィラージュと介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)ソルメゾンなどを運営しております。グループ内各施設が連携し、保健・医療と福祉サービスを提供できる体制を整えています。
フラッグシップとなる日野病院は病床数199床。地域の医療機関とも連携して、治療後の機能回復や生活支援を目的としたリハビリテーションにも重きを置き、安心、安全で切れ目のない医療・介護・生活支援を提供しています。
適正在庫をまったく把握していませんでした。とりあえず現場から依頼のあったものを発注する、さらに倉庫の中も整理されていませんでしたので、何がどうなっているか?がわからないという状態でした。
見える化もできていないし、適正化もできていない。在庫がまだまだあるのに、発注、購入をしてしまうということも多々ありました。
これはスマートマットクラウドを導入してから判明したことですが、現場の職員の皆さんが在庫の欠品に非常に不安を感じていました。適正在庫数が10個なのに、それこそ大袈裟ではありませんが100個ぐらいないと不安だというような運用をしていました。
欠品の不安は「なくなったら業務が滞る」ということに加え、何度も発注すると手間暇がかかるという問題もあります。一度の発注で済ませることができれば効率化につながります。
きちんと整理されていないので、あちこちに在庫が点在している。何がどこにあるかを誰もわかっていない。そのため、探す手間がかかり非効率、ストレスもたまる…という問題もありました。職員に最初のオリエンテーリングをする時にそれが一番のネックにもなっています。
どこに何があるかわからないと仕事に慣れることができない、特に看護師や介護職員ですね。説明する方もよくわかっていないので、説明を受ける方も内容がよくわからない。これを見える化したいという思いがありました。
また、人手不足の問題も抱えており、待遇面以外にも、欠品の不安だったり、探す手間だったりという面も改善できたら…。在庫管理の作業がなくなるだけで、看護師たちの労働環境もだいぶ改善されるのではと考えていました。
ソリューションを探すきっかけは、コロナ禍の感染対策物品管理です。それまで人の手による管理だったので「あそこに確かあるだろう」といった思い込みで欠品してしまったり、「他のどこかにある」ということがまったく把握できていない。
病院の中を駆けずり回って「ここに残っていないか」探し回るということも起き、欠品を防ぎ、何がどこにあるのかを把握できていなければいけないと思いました。
このような課題を解決するソリューションはないか?とずっと探していた際に、大阪で開催されていた展示会で拝見したのがきっかけです。
スマートマットクラウド以外のソリューションは、〝今までの運用ありき、人の手を介するありき〟なんですよね。根本的なシステムは変わっておらず、「これがちょっと便利になりました」というだけでした。
スマートマットクラウドは〝重さで管理する〟というのが初めての観点でした。
最初は「本当に重さで管理できるのか」と疑心暗鬼の部分もあり、少ない台数からの導入でスタートしましたが、実際に使ううちにその精度の高さを実感しました。追加導入を行い、現在は約1,500台のスマートマットで管理を行っています。
スマートマットクラウドと同時にシールを読み取って管理する病院物流管理システムも導入しました。
ですが、欠品の不安から適正在庫など関係なく、納品と同時にシールを読み取って発注をかけてしまうということを続けていました。
シールを読み取ると発注がかかってしまうため、システム側では管理できなかったり、シールの読み取りミスや貼り間違いというヒューマンエラーが発生してしまうという問題も抱えていました。
このような状態を改善するために、スマートマットクラウドに切り替えました。
システムがシンプルな点です。重さで判断するというのは大変わかりやすく、スムーズに運用できるのではないかと感じました。
今まで利用していたシステムでは、どうしても人の手を介す必要があったため、ヒューマンエラーを防ぐことができません。
スマートマットクラウドは〝ただ乗せるだけ〟なので、ヒューマンエラーの心配がないということも大きかったですね。
狭い在庫管理スペースでも効率的に活用するためにスライド式の可動棚を導入
導入当初は不安がありましたが、スマートマットクラウドは導入後もしっかりフォローしてくれるので、安心でした。
在庫管理のスペースが狭いため、置き方には常に工夫をしていますが、最近ではスライド式の可動棚を導入し、効率的なスペース活用ができています。
導入当初はA6サイズのマットがリリースされていなかったので、細かい物品を乗せるのにA4サイズを使っていたため、無駄なスペースが生まれてしまうこともありましたが、今はよりコンパクトなA6サイズを利用しているので、その課題も解決できています。
サイズや種類が混ざらないようにケースを利用して管理
医療材料、オムツ、リネン、コピー用紙、厨房の食材や調味料、清掃用品などです。
最初はリネン類にスマートマットクラウドを導入し、在庫管理ができていない酷い状況であるということをそこで初めて認識しました。
「これはリネン類だけではなく、他も同じような状況に違いない」と確信し、オムツ、診療材料に横展開していきました。
スマートマットクラウドの導入で見える化されてきたので、「これは過剰在庫だから購入しなくても大丈夫。閾値を切ったら発注しよう」ということがわかってきました。
すべての在庫でこれを実践していくと圧倒的に在庫の量が減ると思います。実際にまったく動いていない在庫もあるので、経営的にも例えば年間何百万円購入していたものが何十%単位で削減できるようになるのではないでしょうか。
倉庫のスペースも「ない、ない」と言われ続けて、広げてもまた物置のようになっていましたが、この状況も改善されていくと感じています。
かさばりやすいオムツの適正在庫を把握できたことで、在庫管理の省スペース化にも成功
在庫管理が自動化されたことで、職員たちの労働環境の改善につながったというメリットもあります。在庫管理をしていた時間をやりがいのある業務に費やすことができるだけではなく、懸案だったオリエンテーリングで新人に教える時間もかかりません。
長く働き続けたいと思ってもらえるやりがいのある環境づくりを実現することで、採用コスト削減にも貢献してくれると思います。
スマートマットクラウドで無駄を省くことが経営に寄与してくれれば、患者さんにも職員にも、みんなに還元できます。
在庫管理が自動化されることで、看護師の負担が減り、するとこれまでは忙しそうだからと遠慮していた指示を、医師が看護師に出しやすくなります。働き方改革という面でもメリットが生まれていると思います。
一番は、日野病院の完全自動化。少子化により働き手が減るので、できるところはどんどん自動化していきたいと考えています。
今後は医薬品の運用も検討しています。「いざ使おう」という時に中身が減っていて慌てるということがないようにしたいですね。スマートマットクラウドなら実際に現場まで中身を確認に行く必要がなく、ある一定量になったら通知でお知らせということができると伺っています。
また、入荷管理についても経理と連携させたいと考えています。今は発注と請求をリンクできておらず、納品されたら紙の伝票で確認しています。そもそもちゃんと入荷されているかもしっかり把握されていません。発注データと納品データと請求データが合致するように連携したいです。
これは願望ですが、軽いけれども大きい物品はA3サイズ2枚の下に板を敷いて設置しているので、これが1枚で済むようなサイズ。チューブなど細長い物品を管理しているので、細長いタイプのマットなどがあれば良いなと思います。