人の問題。時間の問題。挙げたらきりがないぐらいの課題を抱えていました。人の入れ替わりや人手不足といった問題の原因にずっと在庫管理がありました。
歯科クリニックは、診療日数が年間240日ぐらいしかありません。
その中の1日を削って年1回、月1回と棚卸をしていると、その日はアポイントが取れない、ということになります。
経営のことを思うと、できる限り在庫管理を効率化してその分診療にあてていきたい、と考えていました。
作業内容は本当にアナログで、ごく簡単な表を自分たちで作って数を数えて、申し送りのノートを見ながら注文を出していました。新しく取引先が増えたら、専用のFAX用紙を手作りしたり、という感じで。
在庫管理を担当しているのは、主に歯科衛生士です。在庫管理のなにもかもに、貴重な歯科衛生士たちの時間と手間がかかっていました。
歯科衛生士は終身雇用で働く人がほとんどいない状況で、だいたい5年ほどで入れ替わってしまいます。
引継ぎのときに、在庫についてのローカルルールを伝えることが、渡す側・引き受ける側双方の大きなストレスとなっていました。
また引き継がれる内容も、かなりバラつきがありました。担当者の性格や材料コストに関心があるかないかで、発注の仕方がかなり違いますから。
スマートマットクラウドの導入風景
在庫管理について課題意識を強く持っていたので、何かいい方法はないかと長い間情報を集めていました。
売上げの良いクリニックの先生は、みんな当然在庫管理に意識を向けていますので、ドクター同士顔を合わせると良く話題に上がりますね。
知り合いの先生から、他の在庫管理システムの導入が成就しなかった例も耳にしました。バーコードシステムを入れようとしたけれど、リーダーそのものがものすごく高かったり、システムを組むのに手間がかかったり。
なかなか、これと思えるシステムがなく、半ば在庫管理システムの導入を諦めていました。
そんな折、ご自分の新規開業を控え情報収集をしていた勤務医の先生から、重さで在庫管理するシステムがあるという情報をもらいました。
スマートショッピングのサイトで歯科医院の導入事例を読み、「これはまさに自分たちが欲しかったシステムでは」と思ったのが導入のきっかけです。
重さで在庫をはかるという仕組みです。
それまで在庫の管理は指を折って数えることしか頭にありませんでしたので、衝撃でした。
これまでの自分たちの弱みを克服するチャンスが来た。やっと明るい道が見えたと思い、連絡を取りました。
カスタマーサポートの方のアドバイスもあり、まずは50台からスタートしました。
通用口そばのスタッフの控え室にメタルラックを2基設置して、スマートマットを並べています。
「どんなものを補充しているか知ってほしい」という思いがあり、よくスタッフの目に触れる場所を選んで、あえて扉のないオープンラックへ置くようにしました。
材料の搬入口に近く、動線もいいですね。
スタッフの視界に入る場所に置かれたスマートマットクラウド。コスト意識浸透に一役買っている
導入から大体4ヶ月が経ちましたが、最近やっと注文をはじめたところです。
はじめから半年ぐらいかけてゆっくり慣れていこう、という方針を取っています。時間に余裕を持たせることで、パソコンの操作に慣れていないスタッフも無理なく取り組むことができています。
歯科業界はどうしてもパソコンが苦手な人材が多いと思うので、時間をかける導入はおすすめですね。
これまで歯科衛生士が中心になっていた在庫管理を、事務方のスタッフにも任せられるようになりました。
在庫管理は歯科衛生士にとって、最もストレスが大きく、時間も使う仕事。
採用が難しく人手不足になりがちな衛生士が抱えている地味な仕事をどうにかしてコンパクトにしてあげたい、という願いを叶えることができました。
在庫に費やしていた時間は、私がスタッフの技術を見て直接指導する時間にあてていきたいのです。
スタッフのスキルアップとやる気につながりますし、私自身すごくやりがいを感じる時間でもありますから。
スマートマットクラウドを使うと、何をどれだけ使ったかというデータが手に入り、それが経営上の大きな強みになっています。
材料費が非常に高くなっている今、データを見つつ過不足ない量を安定しておさえていくことが本当に大切だと感じています。
矯正用の材料では珍しいことですが、コロナウィルス流行の影響で、アメリカ製の矯正材料が大きく高騰しました。
材料メーカーの合併があったり、製造するラインナップの大幅な見直しがあったりした影響を受けてのことでした。
材料をどれだけの数を買っておけばいいのかは、消費データがなければ判断がつきませんからね。
スマートマットクラウドのグラフ表示機能
院内でDX化を進めるなら、もっともパフォーマンスが上がりやすい在庫管理を優先させるのが得策です。
システムの中には、ある程度までしか自動化ができず、結局手動の処理が必要になりこれまで同様人件費を圧迫するものがあります。材料費が高騰し人件費も上がっている、でも診療報酬は据え置き、という現状ですので、無駄なものを買っていると、スタッフの給料に反映できるだけの利益を出すことができません。
その点スマートマットクラウドは、確実に在庫管理にかかる時間を1/3に抑えてくれました。
特に開業を予定している先生で、クリニックを大きくしていきたい、と考えているのなら、スマートマットクラウドを最初から入れておくことをおすすめします。
クリニックの業績が順調に伸びてきたときに、在庫管理の問題が必ず出てくるもの。
特に5台以上のユニットを持つと、ひと1人ではまかないきれないチェック量になり、すぐに人手が足りなくなります。
初期導入コストの問題さえクリアできるなら、ぜひ検討してみて欲しいと思います。