品質管理部検査課 姫川様(写真右)
私は、鹿島工場で作っている製品の分析をする検査課に在籍しています。
分析は大きく分けて2種類あります。ひとつは作っている途中に実施して、品質を安定させる分析。もうひとつは製品分析といって、全部仕上がった後におこなう分析です。
料理に例えるなら、火が通っているかどうか途中で味見するような分析が前者、完成したメニューを食べて、美味しいかどうか判定するような分析が後者になります。私は後者の製品分析のポジションで分析をしています。
仕上がった製品に対して品質を満たしていることを証明する成績表を発行し、出荷時にそれを添付するという業務をしています。
スマートマットクラウドを導入する以前、分析に使用する試薬の発注業務にはFAXを使っていました。発注するのは分析担当者たちで、試薬を使ってなくなったときに発注をかけていました。
そうすると分析の途中に発注業務が入ってくるので、どうしても分析全体の効率が悪くなります。
FAXをして戻ってきたときに分析をどこまでやっていたのか分からなくなったり、そのまま席を離れて試薬が出しっぱなし、というケースが出たりすることに課題を持っていました。
液体窒素の管理については別の課題もありまして。
タンクに入った液体窒素は残量が見た目で分からず、容器ごと持ち上げて重さで残りを確認していました。容器自体に重さがあり、業務でよく使う人しかこれまで発注するべきか否か判断がつきませんでした。
液体窒素の重たいタンクを持ち上げて残量を推測していた
廃液も今どれだけ溜まっているかがとても分かりにくいのです。
廃液自体が汚れているものなので、最初は半透明だったタンクに徐々に色がついていって中身が見えなくなっていくんですよね。
廃液を捨てる前にタンクをちょっと触って「この重さならまだいける」みたいなことをやっていました。油断して、タンクをあふれさせてしまうこともありましたね。
バットの下にスマートマットを敷いた廃液管理の様子。規定量に達したら通知が飛ぶ
私が、ガジェット系YouTuberの動画でスマートマットを知ったのがきっかけです。すぐに「これで試薬が自動発注できないか」と思いつきました。それを課長に話したところ「やってみよう」となりました。
当社は会社全体にそのような雰囲気があります。
とりあえずやりなさい。失敗したらやめたらいいと。まずはやってみることが、社の方針になっています。最初から駄目ということは、まずないですね。
弊社は「ワクワク」をスローガンに従業員一人ひとりがかがやき、また達成感を味わえるような会社を目指しています。新技術の導入や変化を試みることを推奨しているため、導入決定までのスピードも早かったですね。
特に自動化に関しては、時間創出によりクリエイティブな仕事へのシフト等が期待でき会社も後押ししてくれています。
これまでは発注の自動化をしたくても、方法が分からずできなかった、というのが実情でした。自分たちはスマートマットクラウドが高い投資、とは思ってはいないですね。
自動で発注メールを送れることです。
重さを測って残量を計測するだけのシステムでも、きっと導入を決めていたと思います。
さらに自動で発注メールを送れるとなると、自分たちの手がかからなくなり、自動化が実現できる。やはり完全自動化がベストな状況だと思うので、迷いなく導入しようという感じでしたね。
あとはスマートマット専用のWi-Fiが付いてくることも大きかったです。
社内の回線を使うとなると別途設備の設置が必要で、複雑な手続きを踏む必要がありました。それを省略できたのもポイントでした。
試薬は自動発注をしています。
私たちは届いた試薬をスマートマットに載せるだけで、ほぼ完全自動化できています。
有効期限が短い規定試薬などはなるべく在庫を持たないようにぎりぎりで管理していますが、グラフ機能を見て発注頻度が異常に多いものは、発注本数を増やしたりもしています。
タンクに入った液体窒素と廃液の管理にもスマートマットを活用しています。
スマートマットで液体管理や増加モード管理ができると説明を受けて、後から管理商品リストに追加しました。
量が増えていく廃液は規定値に達した時にメールで通知されるよう設定しました。
液体窒素や廃液の管理は、ずっと不便に感じつつどうしようもない、と思っていたんですが、スマートマットによる管理で発注タイミングの読み間違いも、タンクから廃液があふれることもなくなりました。
発注作業による分析の中断がなくなりました。また分析を優先した際、後回しにしたはずの発注を忘れて、試薬の在庫が切れることもなくなりました。
データをみると、導入後は1年で212回分発注のFAX発注を削減できたことになります。
1回FAXするのに約5分かかっていたので、212を掛けると年間約17時間ぐらいでしょうか。
削減した時間で見るとわずかなものに感じるかもしれないですね。でも作業効率の面で見ると、分析という製品の品質に関わる作業に集中できるようになったので、その数字以上に効果があるものと思っています。
マット自体の管理が電池交換ぐらいしか必要がないこと、WEB上でみんなが状況を確認できることに使い勝手の良さを感じています。
周りからは画面上で管理するものの写真を設定できるところや、在庫量のグラフが見えるところがわかりやすい、って言ってもらえています。
今まではMicrosoft Accessで発注システムを組んでいたんですが、写真がなかったため試薬や溶剤の名前を覚えていなければ、発注ができませんでした。
今は1グラムが測定の最小単位だと思うんですけど、0.1グラム単位まで計れればもっといいですね。毒劇物など重量管理が必要なものをグラムで管理するには、やっぱりそれぐらいの精度があった方がいいと思います。
あとは管理は普段パソコンでしていますが、アプリが出ればそちらを使いたいですね。スマートフォンでも管理画面を見ることができますが、やや見にくさを感じます。アプリがあれば、ログインの手間が省けてもっと気軽に在庫管理ができるかなと思います。
これまで私は在庫管理と発注は、別のものと思っていました。スマートマットクラウドでまとめて自動化でき、結果、担当者の手間を減らすことで、部署全体の作業効率がよくなりました。
重さを計れるものだったらほぼ何でも管理できるので、かなり応用が効くシステムではないかなと思います。