SGモータース株式会社自体はSGホールディングスグループ内で主に車両に関する業務を行う会社で、整備事業、製造、販売を展開しています。製造部門は富士と岡山の2つの工場があり、主にトラックボディを製造しています。
まず棚卸に大きな課題がありました。
当社の棚卸は毎月実施しますが、毎回実在庫と理論在庫に少なからず差異が出ていたため、以前から改善を試みていました。
もうひとつは過剰在庫への強い懸念です。常々余分な棚卸資産を減らしたいと考えていました。
工場内倉庫でのネジ・リベットの管理の様子。手動管理では在庫差異が発生していた。
ちょうどその頃、グループ会社である佐川急便のアクセラレータープログラム「SAGAWA ACCELERATOR PROGRAM 2020」に採択*されたスマートショッピング様について、担当者から紹介を受け、スマートマットクラウドを知りました。
今まで手動で実施していた実地棚卸に、スマートマットをぜひ活用してみたいと思い、生産管理システムの入替とタイミングをあわせ、導入に踏み切りました。
*スマートショッピングは、佐川急便のオープンイノベーションプログラム「SAGAWA ACCELERATOR PROGRAM2020」にて、「HIKYAKU LABO賞」を受賞しました。
在庫量の見える化ができる点です。
在庫の可視化によって、発注点の見直しができるようになると考えました。
従来は担当者が、一定の頻度で部品の発注をしていて、在庫数に応じて発注していたわけではありませんでした。欠品しないように安全在庫に余裕を持たせていた結果、点数が多いこともあり、総在庫が膨大な数になっていました。
スマートマットクラウドの管理画面のグラフでは、実際の部品の消費ペースを確認できます。在庫の変動が日々リアルタイムで分かるため、在庫の残りがどれだけあるか、どれぐらい発注すれば欠品しないか、という見きわめができることが導入の決め手になりました。
総点数は約1,300点ぐらいでしょうか。
その内、特に数を数えるのが大変な在庫、よく使われる在庫に対しスマートマットクラウドを導入しました。
在庫金額が導入前と比較して、27.5%も減少しました。
スマートマットクラウド導入を筆頭に、さまざまな在庫圧縮の取り組みをした結果、導入前の2年前と比較して、金額にすると約5千万円相当の在庫を減らすことができました。
在庫圧縮の取り組みの基本にあるのは、「在庫の回転率0.62を目指す」という考え方です。
具体的には、大体ひと月半で使い切れる量を発注するという基準なのですが、スマートマットによるリアルタイム実在庫把握が非常に有効でした。
スマートマットクラウドで管理しているものは毎日、他のものは月に1度の棚卸で実在庫を把握し、在庫の回転率を見直し在庫削減につなげています。
実際、2022年の4月は在庫回転率が0.28でしたが、今期上半期の平均は0.82と目標値をクリアすることができました。
鉄板を加工した製作品管理の様子。重たく、手作業では数えにくかった。
スマートマットの実地棚卸時間の削減効果を計算してみました。結果これまで実地棚卸にかけていた994分の時間を削減できています。現在スマートマットを118台導入していますので、1台あたり約8分の削減効果が出ていることになります。
導入まではこうした定量的効果を重視していましたが、現場の人間を棚卸の負担から解放できたことがより大きな効果でした。
ネジが大量に詰まった箱は重くて、棚から降ろすだけでもひと苦労です。在庫管理は特定の人に集中しやすい属人的な面もあって、負担が大きい部分を軽くできるのは、会社の体制として良いことだと思いますね。
スマートマットクラウドで管理してから、在庫のロケーションが確実に把握できるようになりました。以前は同じ在庫が2ヶ所に置いてあったり、特定の人しか在庫の置き場所を知らなかったりという問題を抱えていました。
スマートマットクラウドを導入する際に工場内の整理整頓に取り組み、現場の5Sについての意識が急速に高まったように感じています。スマートマットの導入で常に在庫状況が見られるようになり曖昧な管理がしにくくなった、ということが背景にありますね。
在庫の変動データを見ることで在庫の最適化が可能になりました。毎日の在庫量の金額をグラフで確認できるので、在庫が増えてきたことにすぐに気づくといったことにも活用できています。
在庫削減の成果がはっきり出ていることが更新の一番の理由です。部品在庫の可視化、見える化が継続してできているということです。
またスマートマットに頼ることで、人が在庫管理に携わらなくて済むということも大きなメリットです。人が関わることによって数の数え間違いなどのエラーが生じますが、スマートマットを継続して使うことによって、棚卸精度が大きく向上しました。
省人化は今後予想される人手不足に対応できるリスクヘッジにも繋がり、とても価値あることだと考えています。